慕ってくれる人の好意なんて当人には計り知れない 一 ページ40
「あ゛あ゛あ゛あ゛!! 解雇ォォ!?」
万事屋の居間で新八は大声を上げた。
「うるっせーな。デケー声出すんじゃねーよ」
「神楽ちゃん解雇したって言うんですか!?」
銀時が社長机の椅子に座りながら軽くボケていると、新八が彼の鼻に指を突っ込んで背負い投げした。
「いだだだ!とれた!コレ絶対鼻とれた。何しやがんだァ!」
銀時は床に倒れ込んで騒ぎ、ソファーに座っていたAは呆れた顔をする。
「見損ないましたよ銀さん!アンタ神楽ちゃんの気持ちとか考えたことあんのかよ!」
「あん!?家出娘を親の元に返して何がワリーんだよ!」
「お前は……ホントッ、バカだっ!それにAさんも止めなかったんですか!?」
新八がAの方に向き問い掛ければ、彼女は目をそらしてうつむいた。
「うん……神楽ちゃんにとってどうするのが正解なのか、私なんかが止めて良いのか分からなくて」
「ッ……」
新八はそれを聞いて唇を噛み、言葉にならない感情が湧いてくる。
「アンタら何も分かってないよ!! 神楽ちゃんがどれだけ万事屋を大事にしてたか!」
――銀ちゃんはだらしないけど、でもそんな所が見てて面白いアル。危険なことは一人で解決しようとして、放っとけないネ。Aのことになると死ぬほど無茶するし。
何があっても銀時について行く神楽を思い返して。
――初めて会ったとき、Aの考え方がすぐに好きになったヨ。夜兎という獣の血を、私の力を、私を受け入れてくれて……すごく嬉しかったネ。
――だから、記憶をなくしたとしてもそばに居るヨ。記憶が戻らなくても。私はAのそばにいたいアル。
Aが記憶を無くしたときに神楽が言っていた言葉を再起する。
「神楽ちゃんがどれだけアンタらを……」
新八は目に涙を溜めて唇を噛む。
「もういい。二人がそういうつもりなら僕も辞めさせてもらいます」
新八は銀時たちに背を向ける。
「仲間だと思ってたのは、僕らだけだったみたいですね」
「やめたきゃやめな」
襖を開ける新八の背中に銀時は言う。
「てめーも神楽も、こっちから頼んで来てもらった覚えはねェよ」
返事はなく、新八は襖を閉じて部屋を出ていった。
Aは眉を下げ、何も言えずにうつむく。
「ったく何だってんだどいつもこいつも……」
銀時はAの落ち込んだ様子を見て大きくため息をついた。
慕ってくれる人の好意なんて当人には計り知れない 二→←優しい灯火でも強火すぎると恐怖を与える 五 終
116人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時