優しい灯火でも強火すぎると恐怖を与える 五 終 ページ39
「オイオイ……神楽ちゃん相手だから、普通の人間なら吹っ飛ぶ力で殴ったんだがな」
星海坊主は顔を引きつらせて言った。
夜兎の拳を受け止めるなど、そうそうできることではない。
彼の手は依然、Aに掴まれていて、ミシミシと良くない音を立てている。
「私が普通の人間じゃないことを、貴方は既に知っているはずですよ」
「……フン」
Aが手を離せば、星海坊主は彼女から少し距離を取った。
「なんの真似だ。親子喧嘩に首を突っ込むなんざヤボだぞ」
「……また派手に暴れやがったな。とんだ親子だ。蛙の子は蛙だな」
銀時は呆れた様子で周りを見回す。
二人が戦っていた屋根は瓦や骨組みが剥げ落ち崩れていて、周りにいた人々は怖がって身構えていた。
銀時は神楽に背を向けながら、口を開いた。
「……帰れよ」
「え」
「お前にゃ、やっぱ地球は狭いんじゃねーの。良い機会だ。親父と一緒に行けよ、これでさよならしよーや」
振り向いていう銀時の言葉に神楽は目を見開いた。
「え……なんで……なんでそんなこと言うネ」
銀時は一度Aに視線を送り、神楽の疑念を無視して背を向け歩いていった。
「ちょっと待ってヨ！ なんで！ なんで……」
「……」
Aは銀時の様子を見て、彼を止めるでもなく、彼の行動を弁解することもしない。
「神楽ちゃん」
「！A……」
Aは神楽のそばまで来てしゃがんで目線を合わせる。
「私は神楽ちゃんが大好きだよ。でも、銀ちゃんの言ったように
「！」
Aは破壊された街の様子を見て、手放しで肯定することはできなかった。
そしてそれは、自分にも該当することで。
Aもまだ、その答えを導き出せていなかった。
「でも神楽ちゃん。私は誰に何を言われようと、神楽ちゃんの選びたい道を自分で選ぶのが良いと思うよ」
しっかりと神楽の目を見て言い、彼女の耳元に顔を近づける。
――私は神楽ちゃんのことが大好きだから離れたくない。でもここで引き止めることが正しいことなのかは、分からないんだ。
ごめんねと一つ謝って、Aは神楽の頭を撫でて歩いていった。
「A……ッ」
銀時に突き放された後でまだ救われたと感じるが、それでも胸の内の寂しさに穿たれて
神楽は座り込んでぎゅっと拳を握った。
慕ってくれる人の好意なんて当人には計り知れない 一→←優しい灯火でも強火すぎると恐怖を与える 四
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刹那＊桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます！！ そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです！ これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (
レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます！ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます！これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：刹那＊桜 | 作成日時：2022年9月13日 20時
