優しい灯火でも強火すぎると恐怖を与える 二 ページ36
建物の屋根の上で神楽と星海坊主は殴り合い、轟音が鳴り響き土煙が舞う。
「嫁入り前の娘が男と同棲なんて許されると思ってるのかァァ!!」
「Aも一緒に住んでるから大丈夫アル!」
「あの男が女を二人とも手にかける輩かもしれんだろうがァ!」
「銀ちゃんはそんな勇気ないアル!それにAに手出そうとしたら私が銀ちゃんの手を破壊してやるヨ!」
神楽たちは戦いながら銀時が何とも可哀想になる会話をしていて。
星海坊主が転がった神楽に番傘を突き立てるが、彼女はそれを避けて星海坊主の顎を蹴って飛ばす。
「もうほっといてヨ!今までずっとほったらかしだったくせに。私がどこでどう生きるかなんて、私が自分で決めるネ!」
星海坊主が吹き飛ばされた先で、土煙が舞い細かい瓦礫の落ちる音がする。
「よほどこの止まり木が気に入ってるらしいな。だったらなおさら去るがいい」
土煙の中から星海坊主が姿を現し、神楽に近づく。
彼女は鋭い目で父親を睨んでいた。
「忘れたか?我らの身体に流れる獣の血を。得物を求めてさまよう夜兎の血を……安寧に身を置いたところでどうだこの様は?我を忘れ破壊し傷つける」
二人の戦いで周りの物は破壊され、人々が慌てて逃げていた。
「いずれお前は自分でこの止まり木を折ることになるだろう。ここが好きなら去れ。ここはお前の居場所じゃねェ。俺たちが飛んでいい空じゃねーんだよ」
「いやアル。私はそんな諦めたような生き方したくないネ」
神楽は真っ直ぐな瞳で父を見た。
「私はここで変わるネ。ここにいれば変われる気がするネ。銀ちゃんたちと一緒にいるネ」
「銀ちゃん?あの野郎か。あんなチャランポランに何ができるってんだ」
「それに私は――護りたいもの見つけたアル」
星海坊主はその言葉を聞いて目を見開いた。
神楽の目には優しさと温もりが浮かんで、少し口角を上げる。
「絶対に護りたいもの……あの人が与えてくれる優しさが絶えないように、私はあの人を護りたいネ」
「……アレか」
神楽の言っている人物が誰か分かったのか、星海坊主は眉を寄せて頭をかく。
そんな様子の父に、神楽は疑問を抱いた。
「?パピーも思ったでしょ?あの人は綺麗で可愛くて、まだ会ったばっかりかもしれないけど、凄く優しいネ」
「ああ、そうだな。だがアレは――バケモノだ」
「……え」
自分の大事な人から、自分の大切な人に思っても見ない言葉をかけられて、神楽は呆然と声をもらした。
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時