記憶喪失なんてモンは治さなくても都合よく教えればいいのさ 十 ページ28
「けど……」
『ねーねー、鴨ちゃん雨ひどいから送ってってよー。ねー聞いてるー?鴨ちゃーん』
『何でわざわざ俺に。副長とかにでも送っていってもらってくださいよ』
『んー、なんか鴨ちゃんがいーのー』
『……ほんと、調子いいですね貴方』
「貴方といるのは不思議と、不快感なかったですよ」
伊東は優しげな笑みを浮かべていった。
少し頬が熱を帯びていたが、彼は自分でも気づいていなかった。
「俺としては仕事が溜まるから早く記憶を戻してほしいところですが、個人的にも戻ってほしいとは思ってます。でも、無理はしなくていいですよ」
伊東は緩んだ表情がまた固くなるものの、その声は優しかった。
その後、銀時達が屯所に帰ってくると伊東はAから離れてどこかにいってしまった。
皆なにか色々持ち寄って誰が早くにAの記憶を呼び覚ませられるか、競い合いが始まった。
結局、Aは思い出せないまま時間が過ぎ、夕方になって銀時達は帰路に着いた。
「ごめんなさい、皆さんいろいろしてくださったのに思い出せなくて……」
万事屋までの道のりで、歩きながらAは申し訳なさそうに言った。
「なに言ってんだ。前も言ったがゆっくり思い出せばいーんだよ」
「そうですよ。それに、Aさんが謝る必要は何もないんですから」
「Aが思い出したときにいっぱいお祝いすればいいアル!」
銀時達はAに向けてにっこり笑った。
「……ありがとう、ございます」
Aは三人の温かさに胸がうずき、口元を緩ませた。
「ん……? なんだアレ」
歩いていると空から大きな影が差して、新八は不思議そうに上を見上げる。
上空には低い位置に宇宙船が飛んでいて
「え、あれ……俺らの家の方向かってね?」
その宇宙船は下方向に進みながら、万事屋に向かって突進していた。
「えェェ!?めっちゃ猛スピードで下がっていってますけど!?追突するんじゃ!?」
銀時達が慌てて走り、万事屋が見えるところまでいくが宇宙船は万事屋のそばまで到達していた。
「ヤバいってあれ!」
銀時達が焦りながらも、何もできず固まってしまって。
「……」
Aは地面を踏み込んで、万事屋の方に向かっていった。
『!』
「Aッ!?」
Aは万事屋の屋根の上に登る。
猛進してくる宇宙船を、Aは両手で受け止めた。
『ええェェェ!?』
下の方で野次馬が集まっていて、皆がAの行動を見て驚きの声を上げた。
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時