最近入ってきた新人が仲間の心に強く住み着いているので家賃を請求できるんじゃないだろうか 二 ページ14
「あくまで将軍の護衛としてつかせているのだ、あまり前線に送ってやるなよ」
「……これはまた、随分とお気に入りですねェ」
松平は平静を装っていた。
天導衆がおそらく下に見ているであろう人間の一人に、何故そこまで執着しているのかと彼は疑問に思っていた。
「当然だ。アレは我々が見つけ出した宝石」
――見つけ出しただと?
松平はピクっと眉を動かす。
――将ちゃんが出会って大切に手元に置いていたのを、後から見かけて横取りしたクセによォ。
松平は奥歯を噛んで、ギリッと心地の悪い音が小さく鳴る。
元々、攘夷戦争から身を離したAは茂々と出会って幕府と関わるようになった。
その関係で、彼女は天導衆の目に入る範囲についた。
天導衆は一度Aを見た瞬間に見た目に魅了されたのか、執拗に彼女に詮索と接触を増やすようになった。
「……Aは仕事の面でも確かに優秀ですが、いささか貴方がたから来る依頼が多くてあまり休養できていないらしい。先ほど大事に扱うとおっしゃいましたが」
松平は上司としてAをしっかり見ていた。
『天導衆から来る依頼』というのは難しいものばかりではない。
しかし量が多すぎるのである。
彼らはAと接触を増やしたいがために、何度も彼女に仕事を言い渡していた。
依頼をさばいていく中で、物によっては武力行使の場面もある。
その武力を見た天導衆が、見た目以外でもさらに彼女を欲するようになってしまった。
天導衆は松平の不服そうな進言を聞いてフッと笑う。
「彼女の上司はお前だろう。お前が指示を出して動いているはずだ……そういえば、Aの上司は雑務も彼女に押し付けているとか。可哀想にな」
「!まさか、とっつぁんがAに仕事を大量に渡してるのって……」
「……」
近藤は松平を見るが、彼は口を閉ざして天導衆を睨んだ。
松平の押し付けているその「雑務」こそ、天導衆からの依頼である。
彼らは誰に仕事をやらせるか、毎回明言をしていない。
しかし依頼を渡す際の雰囲気から、A以外にやらせる気は毛頭ないのが分かる。
もちろん誰にやらせるかは松平次第だが、天導衆の意に反してA以外にやらせると、おそらく相応の罰則を食らうだろう。
その罰則は、おそらく松平一人に及ばない可能性もある。
部下、ひいては真選組やAにすら罰を与えてくるかも知れない。
そんな状態で、松平は簡単に反抗することなどできなかった。
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刹那*桜(プロフ) - noche/ノーチェさん» ありがとうございます!! そう言っていただけでめちゃくちゃ嬉しいです! これからも頑張っていきます(⸝ᵕᴗᵕ⸝⸝) (2022年9月13日 21時) (レス) id: f89dd253f0 (このIDを非表示/違反報告)
noche/ノーチェ(プロフ) - 続編おめでとうございます!ずっと前にお気に入り等々は済ましていたのですがコメントは初めてさせていただきます。いつもこの作品を見るために占ツクを開いているくらいとてもこの作品が好きです。これからも愛読させて頂きます!これからも頑張ってください! (2022年9月13日 20時) (レス) id: 958fbd2e0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:刹那*桜 | 作成日時:2022年9月13日 20時