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オタク、縁を結ぶ。 ページ9

それからは早かった。

親に理由を話して、少ない荷物をまとめて女性の元に転がり込んだ。

別れる時、お父さんとお母さんは2人とも泣いてくれた。

親不孝者でごめんなさい。

でも、守りたい人たちがいるんです。

守るために、力が必要なんです。




鬼から救ってくれた女性は、氷川と言った。

共に過ごして分かったけれど、氷川さんは度の過ぎた臆病者だ。

任務が来るたび、鬼と戦うの怖いと私に抱きついて離れない。

鬼に傷つけられるとぽろぽろ泣く。


最初は、あれ?私、こんな人に師事して大丈夫だったか??と不安になった。

しかし、彼女は確かに強かった。

氷の呼吸、という彼女が生み出した独自の呼吸法を使い、恐ろしさに震えながら毎夜駆け回っていた。

あまりに怖がるから、この人鬼殺隊、向いてないんじゃなかろうかと抱きつかれるたび思う。

しかし、どれだけ恐ろしくても、彼女は刀を手放すことはなかった。

そこに、並々ならぬ気持ちがあるのだと理解した。





「氷川さんはどうして鬼殺隊に入ったんですか」

「.....私?」

「だっていつも怖いって言ってるから。なのにどうして鬼と戦う道を選んだのかなって。」

「そうだね....。」


氷川さんはどこか遠くを見つめた。

その瞳には、何が映っているのか。

私には、分からなかった。



「そんな、大層な気持ちで入った訳じゃないの。私は親も健在だし、誰かが鬼に殺された訳じゃない。」


「それでも、」

空気が変わった。


「私は誰かを救いたかった。救って、感謝して貰いたかった。」


「私という存在を、誰かに認めて欲しかった。」




風が、吹く。

氷川さんの髪が、風の通り抜ける方向になびく。

そして、寂しそうに笑った。





この人はきっと。

きっと自信がない。

自分に。自分の存在価値に。



「だったら、入って正解でしたね。」

「どうして?」







「だって、氷川さん。俺と会えたでしょ?」




いいえ、貴方は最高の剣士なんです。

オタク、共に向かう。→←オタク、言葉を失う。



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設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , 転生   
作品ジャンル:アニメ
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Stella.Ms.an - うう、 (2022年6月28日 19時) (レス) @page36 id: 44b715b917 (このIDを非表示/違反報告)
Stella.Ms.an - アッ、すみません取り乱してしまいましたいまのはわすれてくれますよねそうですよねニッコリ (2022年6月28日 19時) (レス) @page36 id: 44b715b917 (このIDを非表示/違反報告)
マイケル(プロフ) - はるさん» ありがとうございます!のんびりとですが更新していきますので、どうぞお付き合いください。景虎には醜く退場して貰うつもりなので、お楽しみに! (2020年3月21日 0時) (レス) id: ab4a955ce1 (このIDを非表示/違反報告)
マイケル(プロフ) - 雨傘さん» コメントありがとうございます!じょ、女装?!でも顔は普通に男前なので、似合ってしまいそうなのが更に腹立たしいところですね....!! (2020年3月21日 0時) (レス) id: ab4a955ce1 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 更新頑張って下さい!そして景虎さんに悪の撤退を! (2020年3月14日 16時) (レス) id: de479982fc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:シレア | 作成日時:2019年7月22日 22時

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