オタク、怒る。 ページ28
「氷川さんっっ!!!!!」
地面に転がる。背中を強かに打った。
それでも、涙で霞む視界を精一杯広げて叫んだ。腕を伸ばした。
だが、伸ばした腕はあまりに短くて、彼女の背中を捉えることなどできなかった。
「みつけたあ」
血鬼術−−−−産落
ボコボコボコボコッ
その瞬間、氷川さんの腹が音をたてて膨らみだし。
そして、破裂した。
氷川さんの体がゆっくりと崩れ落ちる。
腹には穴が空き、その穴から生物とも言えない肉塊が、呻き声をあげて飛び出していく。
私はただ、目の前で起こる全てのことを、泣いて見つめることしかできなかった。
「オカア、サンッ、オカアサン、オカ、アサ、ンッ......!!」
キンキンと耳に響く音で喋る肉塊。お母さん?今、この肉塊は、お母さんと言ったのか?
呆然と、目の前の肉塊を見ていた私とは余所に、傍にいた景虎はその肉塊に対して笑顔を向け、感極まって叫んでいた。
「あははは!!最高だよお、氷川!!!俺とお前の子供、今までになく美人だ!!ああ、最高だ!!」
氷川の体の上でぐねぐねと動く肉塊に、景虎は嬉しそう抱きつく。
そして、愛おしそうな目で、まるで我が子を見るかのような目で、肉塊に話しかけた。
「どうだい?俺の可愛い子供。お母さんの中は暖かかっただろう?」
「ウン、アタ、タカカッ、タア、ァ......!!」
「そうか、そうか.....じゃあ、お母さんにお礼をしなくちゃあ。ほら、喰ってあげなさい。お母さんも、それを望んでる。」
「ホント、オ、?オカアサ、ン!!オカアサンッ!!」
その言葉に咄嗟に体が動く。やめろ、氷川さんに何するつもりだ。
勢いよく足を蹴り、傍に落ちていた氷川さんの刀を握り、肉塊の方に走る。
「やめろっ!!!!!」
その刀を、肉塊に振り落とそうとすると。
横から凄い速さで手が伸びてきて、私の首を絞めた。
「ぐあっ、あ、!」
「Aくん、駄目だよ、邪魔しちゃあ。これから感動のシーンだよ?生んでくれた母親の骸を、子供が喰う。きっと、氷川も涙を流して喜ぶさ。」
「お”、っまえっ、...ぅう”あ”っ”!!」
首を絞める力が強くなる。息も絶え絶えで、目の前の男を睨み付けた。
くそ、くそ!!!くそっ!!!!
「さあ、はやく喰うんだ!」
その言葉を合図に、ぐちゃりと肉塊が氷川の体を覆う。そして、嬉しそうに跳ねて、その体を飲み込んでいく。
グチャリグチャリと音をたてて。氷川の体を取り込んでしまった。
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Stella.Ms.an - うう、 (2022年6月28日 19時) (レス) @page36 id: 44b715b917 (このIDを非表示/違反報告)
Stella.Ms.an - アッ、すみません取り乱してしまいましたいまのはわすれてくれますよねそうですよねニッコリ (2022年6月28日 19時) (レス) @page36 id: 44b715b917 (このIDを非表示/違反報告)
マイケル(プロフ) - はるさん» ありがとうございます!のんびりとですが更新していきますので、どうぞお付き合いください。景虎には醜く退場して貰うつもりなので、お楽しみに! (2020年3月21日 0時) (レス) id: ab4a955ce1 (このIDを非表示/違反報告)
マイケル(プロフ) - 雨傘さん» コメントありがとうございます!じょ、女装?!でも顔は普通に男前なので、似合ってしまいそうなのが更に腹立たしいところですね....!! (2020年3月21日 0時) (レス) id: ab4a955ce1 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 更新頑張って下さい!そして景虎さんに悪の撤退を! (2020年3月14日 16時) (レス) id: de479982fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シレア | 作成日時:2019年7月22日 22時