師匠、気持ちを吐露する。前半 ページ25
嘘の言葉でも嬉しかった。
満たされた。満たされてしまった。
女として幸せを、彼はくれた。
だから、鬼殺隊から下された命令にも背いてしまった。
一刻も早く、始末せよ。
それが親方様からの命令だった。
でも、嘘の文を送って、景虎の存在を隠した。
ああ、なんて馬鹿な女なのでしょう。
自分の幸せの為に、たくさんの女性たちが彼の食い物にされていることを黙認してしまった。
自分の快楽の為に。
彼から与えられる熱が気持ちよかった。
彼と重ねた肌が熱かった。
彼と合わせた口が溶けてしまいそうだった。
それはまさに、毒のようで。
じわりじわりと私を蝕んでいった。
そんなどうしようもない関係に終止符を打とうと決めれたのは。
A、という子供の存在だった。
他の任務で、たまたま訪れた町で出会った小さな男の子。
刀を、呼吸を教えて欲しいと言って、そのまま私の家に転がり込んできた。
どうしてあの時、強く否定しなかったのか。危険だと、分かっていたはずなのに。
でも、今になってようやく分かった。
きっと私は、この子供に、変わるきっかけを与えて欲しかったのだと思う。あまりに身勝手な願いを彼にかけていた。
そんな私の身勝手な願いをかけられた子供、Aは本当に優秀で、優しく、芯のある強い子だった。
育手でもない私の指導で、この短期間の間に氷の呼吸 八の型の内、五つの型を覚えてみせた。
一の型を覚えた時に見せた、あの笑顔を今でも忘れることはない。
怖がりの私の為に、自分も恐ろしいくせに、その震える膝を叱咤して任務についてきてくれた。
料理が得意じゃない私の為にと、必死でご飯の作り方を覚えて振る舞ってくれた。
Aは、優しさと思いやりでできた子供で。
私を最高の剣士だと、尊敬の眼差しを向けてくれた。
幸せだった。この子供との生活は。
初めて、景虎との行為以外で、幸せを感じられた気がした。
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Stella.Ms.an - うう、 (2022年6月28日 19時) (レス) @page36 id: 44b715b917 (このIDを非表示/違反報告)
Stella.Ms.an - アッ、すみません取り乱してしまいましたいまのはわすれてくれますよねそうですよねニッコリ (2022年6月28日 19時) (レス) @page36 id: 44b715b917 (このIDを非表示/違反報告)
マイケル(プロフ) - はるさん» ありがとうございます!のんびりとですが更新していきますので、どうぞお付き合いください。景虎には醜く退場して貰うつもりなので、お楽しみに! (2020年3月21日 0時) (レス) id: ab4a955ce1 (このIDを非表示/違反報告)
マイケル(プロフ) - 雨傘さん» コメントありがとうございます!じょ、女装?!でも顔は普通に男前なので、似合ってしまいそうなのが更に腹立たしいところですね....!! (2020年3月21日 0時) (レス) id: ab4a955ce1 (このIDを非表示/違反報告)
はる(プロフ) - 更新頑張って下さい!そして景虎さんに悪の撤退を! (2020年3月14日 16時) (レス) id: de479982fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:シレア | 作成日時:2019年7月22日 22時