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41.少年 ページ41








ブランコの動きが止まって、鎖を握りしめていた手を、膝の上に重ねた。


体を斜めに、先輩の方へと向き直ると。
風に揺れる茶髪越しに、12時を回った時計が見えた。




さっきまで風を切っていた体が、正午の日差しを受けて、ほかほかと熱を持つ。







平野「でも今、俺、Aと二人きりになんかなったら、」







そこで、先輩が口をつぐんだ。

私は、その先の言葉を待って、ただじっと、綺麗に形作られた鼻筋を見つめていた。






平野「・・・今から俺が言うこと。
引かないで、聞いてくれる?」






許可を求めるように、私を上目遣いで見上げた先輩。そんな話し方、できるんですね。なんて、場違いなことを口走りそうになった唇を、慌てて閉じた。








平野「二人きりになんて、なったら、な。
俺、何するか、自分で自分を保てる気がせえへん」








それが、どういうことなのか。

男女が二人きり。自制心。
そのワードだけで、何かを察することができないほど、私も子供ではない。




どう返していいか分からずうつむいた私の視線を、掬い上げるみたいに、先輩の指先が、そっと、私の肩に触れた。




ふわ、と揺れた髪の隙間から、先輩がこっちを向いているのが分かった。





目が、合って。

急に、腰掛けた部分が、窮屈に感じた。




まるで、私達が大人になっていることを、知らしめているみたいだった。







平野「ごめん、俺、言ってることめちゃくちゃや」







渋く顔を歪めた先輩は、何か抜け落ちたように、いつもと違っていて。

先輩が、初めて。

18歳の、私の、先輩に見えた。

42.気づかい→←40.ブランコ



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設定タグ:永瀬廉 , 平野紫耀 , Mr.KING   
作品ジャンル:恋愛
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紀衣 - 夏(なの)さん» わーー!待っていて下さってありがとうございます!コメントすごく嬉しいです!訳あってゆるゆる更新になりますが見届けていただけたら嬉しいです…(>_<) (2018年12月12日 23時) (レス) id: afbfeebc90 (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - 待ってました。久しぶりの更新とてもうれしいです!! (2018年11月18日 13時) (レス) id: d826207ec4 (このIDを非表示/違反報告)
紀衣(プロフ) - 夏(なの)さん» たくさん感想ありがとうございます!すごく嬉しいです!切なさだったり、廉くんのリアルさ(笑)だったり、気をつけながら書いていた部分に気づいて頂いてすごく有難いです!拙い言葉ばかりですがこれからも応援して下さると嬉しいです!マフラーもぜひ買ってください!笑 (2018年1月14日 17時) (レス) id: cdb8449478 (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - メインの廉くんが、リアルで凄いと思います!廉くんの細かい所まで表現されているし、それに出てくるボキャブラリーが半端じゃないです。とても読みやすくて…!なんかマフラー欲しくなってきました(笑)更新楽しみです。頑張って下さい! (2018年1月14日 8時) (レス) id: 5d55c4341d (このIDを非表示/違反報告)
夏(なの)(プロフ) - 初コメ失礼します!前作が気になって読ませて頂いて…とてもドンピシャリで!!Twitterもフォローさせて頂きました!最初はあいくるしい。って束縛とか、そういう系なのかな?と思っていましたが切ないお話で………きゅんきゅんと言うよりも染みると言うか…↑に続く (2018年1月14日 8時) (レス) id: 5d55c4341d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紀衣 | 作成日時:2017年12月30日 20時

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