あ い く る し い 。

５．必然的 ページ5

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幼馴染。



恋愛漫画や青春映画でよく出てくるこの言葉。きっと、私と廉の関係を表すのに、もっとも適しているものだと思う。





偶然、家が近くで。偶然、親同士の仲も良くて。偶然、高校も一緒になった。



･･･偶然？ううん、違う。



中学までは、必然的に廉の隣を歩いたけれど、高校は違った。廉が行く高校を私も志望して、廉の背中を追うことに必死だった。




だって、好きだったから。
ずっと、ずっと。好きだって思っていたから。




分かってはいたんだよ。
幼馴染の延長線が、どこまでも続けられる訳じゃないこと。


いつまでもぐずぐずと気持ちを引きずる私を、神様はもう、とっくの昔に見放していたのかもしれない。




だったらもう、今更伝えたとこで。神様は、振り向いてはくれないんだろうな。


いずれ、廉に傷を抉られるくらいなら、自分で自分を傷つけるほうがまだマシだ。






「クリスマスやん、今日」






住宅街を出ると、朝から人で賑わう駅が見える。発色はしていないものも、夜に備えて光の連なりが壁に仕切りを作っていた。




思い出したかのような口調で言うと、同じように点灯前のイルミネーションを見ていた廉が、ああ、なんて間抜けな声を漏らす。






「なに、ああって。
･･･彼女、出来たんやろ？」

永瀬「あー、うん、まあ？」

「何その曖昧な感じ。彼女さんに失礼やで」






思ってもない言葉を連ねる口は、これでもかってくらい饒舌で。嘘に慣れた心は、ちっとも痛くない。






「クリスマス、一緒に過ごすんやないの？」






廉が、悪いんだ。

遠回しに攻めたところで、なにひとつピンと来てない様子の廉に、核心をついた言葉を、投げかけない理由がなかった。



好きなのに。言えないよ、そんなこと。

こんなに、虚しくて、惨めなことってある？



なんて。今更じゃん。
気持ちを伝えられない弱さは、今に始まったことじゃないのに。





人のものになった瞬間。こんなにも、手放したくなくなるなんて。

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