あ い く る し い 。

１５．ケジメ ページ15

．






それから私達は、冬休みに入り、一度も顔を合わせることがないまま、年を越してしまった。



休み中、何度か廉からラインが入ったこともあったけど、私はそれを、読むことも、返すこともできなかった。




多分、私はまだ、心のどこかで、クリスマスの日の出来事を、引きずっていて。

あの時、思わず口を滑らせそうになったことも。

廉の彼女に対して、優越感とか、罪悪感とか、色々な感情が、心を占領していることも。





なんだかとてつもなく、後ろめたくて。





そんな風に、ただただ、時間を潰すだけの長期休みも終わりを迎え。





廉の彼女について、詳しく知ることになったのは、三学期が始まってすぐのことだった。





休みボケの余韻が覚め切らず、眠気眼を擦りながら、いつもの通学路を歩く。少しだけ違うのは、廉が、隣に居ないことくらい。




別に、会いたくない訳じゃない。これは、ある種の自分へのケジメであり、そして、廉への気遣いなのだから。




左耳にだけ流れる音楽は、シャッフルで楽しげな冬メドレーを繰り広げている。



停車した電車の車内は、まだ人がまばらで。一本早いだけで、こんなにも人数に差が出るのだと、思わず驚嘆の声を漏らしてしまった。



早起きは三文の徳、って。これ、あながち間違いじゃないかもしれない。





学校の最寄り駅で下車したところで、バタバタとこちらへ駆け寄ってくる足音が聞こえてきた。


振り向くと、僅かに息を切らしたなっちゃんが見えて、小さく手を振る。





「おはよ、なっちゃん」





左耳にだけ嵌めたイヤホンを外して、なっちゃんの隣に並ぶと、息を乱したなっちゃんが、何か言いたげに私を見つめた。

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