【財前光】名無しの君へ、

６苛々 ページ7

「チッ」





また、ミス。


もう何連続でネットにかけとるんやろ。




むしゃくしゃするんや。






「おー財前、なんや不調か？」



「なんで先輩がおるんスか」





そこには引退したはずの先輩がおった。






「心配になってな」





呆れ顔で俺を見据える先輩。





「余計なお世話っすわ」





俺、ほんま情けないわ。


引退した先輩にまで心配かけるなんて。






「財前、自分部長やろ？しっかりせな」



「うっさいすわ」





思わずきつく返してしまう。



ダメや、完全に八つ当たりやん。






「財前…」






今日は、ほんま集中できへん。


部活に私情持ち出すとか、なにやっとるんやろ。









――――――――――――…




今日は急に席替えをすることになった。




隣の席でも話すことができんかったのに、席替えなんてしたら、完全に関わりがなくなる。






『はぁ…』






ほんま自分がヘタレすぎて嫌になるわ。







『財前君、よろしゅうな』






隣を見ると、名前すらしらない女。


当然のように無視し、彼女を探す。






『…っ』







俺の目に写ったのは隣の男と、仲良さそうに離す桜井やった。



あないな顔、見たことないわ。



ニコニコと笑う彼女に胸がいたんだ。







それから俺は、ずっとイライラしてる。

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