11証拠 ページ12
腕を緩めた俺は、そっと彼女を覗き込んだ。
どうして謝るのか、知りたくて、知りたくなくて。
「ごめんね…っ」
彼女の頬に、光るものを見つけた。
俺はAを泣かせてしまったみたいだ。
うれし涙なんかじゃない。
俺が彼女を傷つけて、彼女に涙を流させた。
きつく握り締めた掌に自分の爪が深く食い込む。
「ねぇA、…俺のこと好き?」
気づいたら、聞いていた。
安心したくて、勘違いだと思いたくて…。
嘘でもいいから、頷いて欲しくて…。
「…」
フフッ、馬鹿だな俺も。
…知ってるよ。
ちゃんと、知ってる。
君は嘘がつけないからね。
目の前の彼女は、ただ涙を流すだけで、頷くことも首をふることもなかった。
無言は肯定?
ううん、否定だよ。
彼女がもう俺を好きではないという、紛れもない証拠。
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MOMO(プロフ) - リョーマ君の物語から来たんですが…どれも深くて切なくて悲しくて複雑で苦しくなってくるなんとも表現出来ない感じ(?)が凄くいいです!!これからも頑張って下さい!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page3 id: 086efc5a74 (このIDを非表示/違反報告)
ナツ - 深い、深すぎます…。複雑で切なすぎです。私の読解力じゃ分かり切れない所もあったけどやはり良い作品でした。ありがとうございました。 (2021年2月14日 17時) (レス) id: c58bd08887 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ぱぁぷるさん» ありがとうございます。どちらも辛かったと思うけど、やっぱり幸村さんの優しさはやばかったです。こんな作品で泣いてくださってありがとうございました。 (2014年10月26日 17時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
ぱぁぷる - 泣けました。精市の気持ち、夢主の気持ちちゃんとわかってる見たいに書いてくださってありがとうございます。感動できる切恋をありがとうございました。 (2014年10月15日 2時) (レス) id: 504fe8ac61 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 駿美さん» そう言っていただけて光栄です。コメント、ありがとうございました。頑張ります。 (2014年9月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINO | 作成日時:2013年11月7日 22時