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story3 ページ4

次の日も、私は屋上へと続く階段を上っていた。


今日は、上履きがびしょ濡れにされていたっけ。



ほんと、飽きない奴等だ。






ギィッ。

鈍い音を響かせて、重い扉をこじ開ける。





私は空が好きだった。


日によって違う色を見せ、表情を覗かせる。

私とは真逆で、少し羨ましかった。





「……っ」



溢れる光に目を細める。

今日は日差しが強いみたいだ。



私は空に向けていた視線を、元の位置に戻し、前を見据えた。





「っ、」



なんでっ。



「今日もサボりか?あーん?」



なんで、また彼がいるの。


……跡部景吾。




はぁ。

そう息を吐きたいのを、グッと堪えて、くるりと背を向けた。



話す気なんてない。




面倒事には巻き込まれたくないから。




「おい、待て」



呼び止める声が耳を掠めた。


私の足は自然と止まる。

何故止まってしまったのかはわからないけど、少し興味が湧いた自分がいたのだろう。


久しぶりの感情に、戸惑いが生まれた。





「お前、咲間の家が好きか?」



低い艶を帯びた声。


……踏み入った質問を。


ほぼ初対面、しかも咲間の私に、よくもまぁ、そんな事を。



咲間がどういう所か、わかってるくせに。






私はゆっくりと、歩みを進めた。

そして扉の前で立ち止まり、振り返らずに静かに告げた。







「もちろん、大好きですよ」




嘘。




咲間なんか、大嫌いだ。

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SHINO(プロフ) - 菫-sumire-さん» ありがとうございます。こんな私に憧れる要素があるか、わかりませんが、ありがたいです。本当に未熟で、読みにくい部分もあるかと思いますが、皆様に納得していただけるように頑張りたいと思います。とても温かいコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 梅田さん» ありがとうございます。キャラの特徴や性格は私なりに研究していたつもりです。なのでそう言っていただけると本当に嬉しいです。氷帝にとって跡部さんは絶対的な存在だと思うのでそれを表現できていてよかったです。素敵なコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
菫-sumire-(プロフ) - SHINOさんの小説、影から読ませていただいておりました。憧れるところなんて正直言い切れません.....他のどの作品も楽しみにしています。 (2016年2月7日 12時) (レス) id: dbfe85220f (このIDを非表示/違反報告)
梅田(プロフ) - それぞれのキャラの特徴を良く捉えた上での跡部至上主義な発言がとても好きです。とりあえずの完結、おめでとうございます。続編も楽しみにしてます。SHINOさんの作品ですから、SHINOさんのペースで進めてください。一ファンとして影ながら応援しております。 (2016年2月7日 11時) (レス) id: 78d0f2e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ゆっきーさん» 返事がおくれてすみません!続きを楽しみにしていただけるのは、作者として本当に嬉しいです。ワクワクドキドキしていただける展開にしていきますので、よろしくお願いします。素敵なコメントをありがとうございました。がんばります! (2016年1月25日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINO | 作成日時:2014年7月26日 13時

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