story24 ページ25
「跡部景吾」
「あーん?」
ずっと言ってなかった。
下駄箱のことも、縁談のことも、助けてもらっていたのに。
「ありがとう」
こんな感謝を述べたところで画鋲一つの償いにもならない。
でもこれは、私自身が望んで発した言葉だった。
もっと巧みに言葉を紡げたら、なんて思うけれど今はこれが精一杯。
そう思って跡部景吾を見上げると、彼は1度だけフッと口角を上げた。
「礼はいい。
それよりその跡部景吾って呼び方なんとかなんねぇのか」
「どうして?」
私は他人のことをフルネームでしか呼ばない。
そうしないと、線が引けないから。
「他人行儀だろ。
それが俺様への礼でいい」
はぁ、なんて自分勝手なのだろう。
だけどまぁいいかと思ってしまう私がいた。
「わかった、跡部」
「そっちかよ」
まだほんの1センチも近づけていないけれど、少しだけ。
ほんの少しだけ、知りたいと思った。
なんて言ったら笑うだろうか。
彼の痛々しい右手をじっと見つめ、目に焼き付けた。
痛いはずなのに平気な顔して笑う跡部を。
私のために犠牲にした跡部の右手を。
私はもう信じていた。
抜け出せなくなるほど深い深い何かに。
私は静かに飛び込んだ。
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SHINO(プロフ) - 菫-sumire-さん» ありがとうございます。こんな私に憧れる要素があるか、わかりませんが、ありがたいです。本当に未熟で、読みにくい部分もあるかと思いますが、皆様に納得していただけるように頑張りたいと思います。とても温かいコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 梅田さん» ありがとうございます。キャラの特徴や性格は私なりに研究していたつもりです。なのでそう言っていただけると本当に嬉しいです。氷帝にとって跡部さんは絶対的な存在だと思うのでそれを表現できていてよかったです。素敵なコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
菫-sumire-(プロフ) - SHINOさんの小説、影から読ませていただいておりました。憧れるところなんて正直言い切れません.....他のどの作品も楽しみにしています。 (2016年2月7日 12時) (レス) id: dbfe85220f (このIDを非表示/違反報告)
梅田(プロフ) - それぞれのキャラの特徴を良く捉えた上での跡部至上主義な発言がとても好きです。とりあえずの完結、おめでとうございます。続編も楽しみにしてます。SHINOさんの作品ですから、SHINOさんのペースで進めてください。一ファンとして影ながら応援しております。 (2016年2月7日 11時) (レス) id: 78d0f2e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ゆっきーさん» 返事がおくれてすみません!続きを楽しみにしていただけるのは、作者として本当に嬉しいです。ワクワクドキドキしていただける展開にしていきますので、よろしくお願いします。素敵なコメントをありがとうございました。がんばります! (2016年1月25日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINO | 作成日時:2014年7月26日 13時