story23 ページ24
「前みてぇに『どういうつもりだ』って胸倉掴まれるかと思ったが、今日はおとなしいんだな」
フッと笑う跡部景吾に、私は傷口を見つめたまま口を開いた。
「手当てが先」
そう言って、傷口にできるだけ優しく包帯を巻いた。
どうか、傷が残りませんように。
心の中でそう呟きながらゆっくりと巻いていく。
そして巻き終えた後、私は再び口を開いた。
「もう二度と、こんなことしないで」
本当は今日、教室にいこうって思ったの。
授業に出ようって思ったの。
自分から、人に近づいてみようって思ったの。
そう決意したの。
そう思えたのは、認めたくないけどまぎれもなく貴方のおかげ。
「貴方の右手にはたくさんのものがつまってる。
貴方自身の努力の結果や、凡人には手の届かない才能が、溢れるくらいつまってる。
もう二度と、この手を傷つけないで」
ごめんなさい。
ごめんなさい。
全部私のせい。
そうわかっているのに、もう今の私には彼を拒絶することができない。
やっと涙が止まったのを確認し、そっと顔を上げると、彼はまた驚いたような顔をしていた。
「やっぱりお前、俺様の女になれ」
自信に満ちた笑顔。
だけど。
「絶対無理」
私はまだ、この感情を認める事ができない。
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SHINO(プロフ) - 菫-sumire-さん» ありがとうございます。こんな私に憧れる要素があるか、わかりませんが、ありがたいです。本当に未熟で、読みにくい部分もあるかと思いますが、皆様に納得していただけるように頑張りたいと思います。とても温かいコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 梅田さん» ありがとうございます。キャラの特徴や性格は私なりに研究していたつもりです。なのでそう言っていただけると本当に嬉しいです。氷帝にとって跡部さんは絶対的な存在だと思うのでそれを表現できていてよかったです。素敵なコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
菫-sumire-(プロフ) - SHINOさんの小説、影から読ませていただいておりました。憧れるところなんて正直言い切れません.....他のどの作品も楽しみにしています。 (2016年2月7日 12時) (レス) id: dbfe85220f (このIDを非表示/違反報告)
梅田(プロフ) - それぞれのキャラの特徴を良く捉えた上での跡部至上主義な発言がとても好きです。とりあえずの完結、おめでとうございます。続編も楽しみにしてます。SHINOさんの作品ですから、SHINOさんのペースで進めてください。一ファンとして影ながら応援しております。 (2016年2月7日 11時) (レス) id: 78d0f2e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ゆっきーさん» 返事がおくれてすみません!続きを楽しみにしていただけるのは、作者として本当に嬉しいです。ワクワクドキドキしていただける展開にしていきますので、よろしくお願いします。素敵なコメントをありがとうございました。がんばります! (2016年1月25日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINO | 作成日時:2014年7月26日 13時