story17 ページ18
次の日。
今日は日曜日で、稽古もお見合いも何もない。
ということで、1人ショッピングモールにきていた。
この場所で私を知ってる人なんて、いないだろうから。
こういう所は気が楽だ。
だけど、来たところで何をしたらいいのかわからない。
服なら用意されてるし、文具や雑貨も気付けばおいてある。
ほしいものがない。
というか、何が欲しいのかわからない。
とりあえず、と思って通路のはじにおいてあるベンチに腰掛けた。
「ねぇ、君1人?」
「そうだけど?」
声のする方に顔を向けると、チャラチャラとした男がへらへらと笑っていた。
ああ、ナンパか。とすぐに理解する。
「俺も1人なんだよー。
もう寂しくって。
一緒に遊ばない?」
いつもなら、無視して終わるけれど、この時の私はどうかしていたらしい。
考えもなしにうなずいてしまったのだ。
「いいけど」
「え、まじ?
絶対無視されると思ったわー」
いつもならね、という言葉は言わないでおいた。
「じゃあ、いこっか」
満面の笑みを浮かべる目の前のチャラ男が立ちあがったのを見て、私も立ちあがる。
もうどうにでもなれ、と息を吐く。
刹那、赤い髪が視界に飛び込んできた。
「悪い、待ったかー?
トイレ混んでたんだよ」
急に私の手をとった、男、いや男の子。
さも当然のように私に笑いかける。
「チッ、男いたのかよ」
チャラ男はへらへらと浮かべていた笑みを消し、舌打ちを落としてさっていった。
ちょっと、落ちつこう。
「誰?」
この赤髪の男の子は、いったい誰なんだろうか。
いや、よく見ると氷帝テニス部のジャージを着てる。
「クソクソ!お前馬鹿なのかよ!
さっきの奴1人なんかじゃねぇぜ!
お前俺が止めてなきゃどーなってたか!!」
急に胸倉を掴んできた少年はぐらぐらと私を揺らした。
こんな至近距離で怒鳴られたら鼓膜が破れる。
「おい岳人、そんな揺らしたら喋れないだろ」
そういう問題じゃない。と思いつつも隣から聞こえる声に感謝した。
「わ、わりぃ!」
バッと離れた赤髪の少年は罰が悪そうに顔を歪めた。
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SHINO(プロフ) - 菫-sumire-さん» ありがとうございます。こんな私に憧れる要素があるか、わかりませんが、ありがたいです。本当に未熟で、読みにくい部分もあるかと思いますが、皆様に納得していただけるように頑張りたいと思います。とても温かいコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 梅田さん» ありがとうございます。キャラの特徴や性格は私なりに研究していたつもりです。なのでそう言っていただけると本当に嬉しいです。氷帝にとって跡部さんは絶対的な存在だと思うのでそれを表現できていてよかったです。素敵なコメントをありがとうございました。 (2016年2月7日 13時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
菫-sumire-(プロフ) - SHINOさんの小説、影から読ませていただいておりました。憧れるところなんて正直言い切れません.....他のどの作品も楽しみにしています。 (2016年2月7日 12時) (レス) id: dbfe85220f (このIDを非表示/違反報告)
梅田(プロフ) - それぞれのキャラの特徴を良く捉えた上での跡部至上主義な発言がとても好きです。とりあえずの完結、おめでとうございます。続編も楽しみにしてます。SHINOさんの作品ですから、SHINOさんのペースで進めてください。一ファンとして影ながら応援しております。 (2016年2月7日 11時) (レス) id: 78d0f2e1a4 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - ゆっきーさん» 返事がおくれてすみません!続きを楽しみにしていただけるのは、作者として本当に嬉しいです。ワクワクドキドキしていただける展開にしていきますので、よろしくお願いします。素敵なコメントをありがとうございました。がんばります! (2016年1月25日 22時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SHINO | 作成日時:2014年7月26日 13時