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邪道ヒロイン39 ページ41

「ただいま」




なんて。

返事なんかあるはずもないのに。

それを認められない餓鬼の私。


はぁ。と一つため息を零した。






メェー




誰もいない薄暗い部屋になんとも滑稽な鳴き声が響いた。


あらやだ。なんてKYな子なのかしら。

ふふっと笑ってぶー子の頭を撫でた。





「メェー」


「そうだよなぁ。お前がいるよね」


「メェー」




少しだけ寂しくなった心に、じんわりと熱が広がった。







彼等を見て、羨ましいと思った。

素で付き合える関係が、妬ましいと思った。



だけど、そんな感情には気づきたくない。


自分が弱いと実感するのが、怖かったから。







「ぶー子。
アンタはここにいて、幸せ?」


「メェー」





肯定か否定か。

そんなことはわからない。



ぶー子は、幸せなんだろうか。

ヤギに生まれて、幸せなんだろうか。


人間に利用されて、生涯を終えるというのに。




そう思ったら。

温まったはずの手の平から、熱はどんどん冷めていった。





「メェー」


「ん?なんだよ」


「メェー」


「なに?」





解読なんてできるはずもなく、ぶー子の瞳をじっと見つめる。


するとぶー子は餌の入った袋をガンガンと揺らした。





お前まじでKYだな




飼い主に似たのか、食い意地だけはすごいんだからなー。

まぁ、いいか。






ぶー子がいなかったら。


きっと私は死んでたんだろう。






ありがと、ぶー子。








ぶー子に適当に餌をあげた私は、すぐに眠りについた。












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ナツ - 面白い、面白い、面白い、面白いぃィィィィ!読んでる途中だけどついコメントしちゃいました。 (2021年2月14日 20時) (レス) id: c58bd08887 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉 - 夢主が羨ましいですな…。ゆっきーに受け止められるとか…。 (2015年1月21日 18時) (レス) id: 13030ae857 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 菜月夜さん» すみませんんん!!山田って苗字私は好きです!修正します! (2015年1月15日 21時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)
菜月夜 - あの…私の名字、山田なんです…ダサイはひどいよぉぉ←でもこの作品大好きでふファイト!…でもダサいは酷いよ← (2015年1月15日 18時) (レス) id: 3c42b54fb5 (このIDを非表示/違反報告)
SHINO(プロフ) - 茉莉さん» 面白いだなんてっ!ありがとうございます!ふ、ファン!?恐れ多いです、ほんと。けれどとても嬉しいです。ずっとそう思っていただけるよう、精一杯努めさせていただきます!コメントありがとうございました! (2014年12月31日 0時) (レス) id: e7993006ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:SHINO | 作成日時:2014年6月27日 19時

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