【テニプリ】せーの！邪道ヒロイン伝説！！

邪道ヒロイン31 ページ33

――――――――――トン




踵が何かに引っかかり、私はバランスを崩す。

あ、倒れる。



そう思った時には、誰かの腕の中にいた。




「フフッ大丈夫かい？」



耳元で響く掠れた声。

ピクリと上がる肩。


ゆっくりと振りかえると、後ろから私を抱きとめる大魔王が一名。



女子なら誰でもときめくであろうその状況に、私は恐怖しか感じなかった。





「ぎゃぁああああああ！！」

ただただ頭が真っ白で、屋上の大空に叫び続けた。

「離せぇええええ！！！！！！」

男に抱きしめられたのは初めてだった。

当然、免疫などかけらもなく、暴れまくる。

腰に回った大魔王の手は思ったよりも力が強くて、びくともしない。

こいつ、腕細いくせに……！！

「まぁまぁ、落ち着きなよ」

「落ち着けるかぼけぇええええ！！」

白々しい大魔王の態度。

見えはしないが、きっと悪戯な笑みを浮かべているんだろう。

想像したら、確かに美しいんだけども！！

めちゃめちゃ綺麗なんだけども！！

生きてるのが申し訳なくなっちゃうんだけども！！

だけど、性格悪過ぎなんだよぉおおおおおお！！

―――――――――――――――

泣いてもいいかな。

夢主ちゃん、変わって。

今すぐそのポジション変わって。

うらやますぃいいいい！！！！！

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