幼馴染武勇伝【幸村様誕生記念企画】追加SS

幼馴染10 ページ10

「精市、私もう行くから」



泣き崩れているワカメを無視し、
精市にそう告げた。


誰が好んでこんな場所にいるかっての。



周りからの視線がうざったい。




「うん、そうしなよ」



珍しく普通の精市は、優しく微笑む。


猫かぶりが……キモい。



だが、ここにいたくないのも事実。


好奇の目にさらされながらも、
早足に、出口へと向かった。



それにしても、立海の設備は充実してるな。

コート整備なんてすごい丁寧だ。



うちの学校はテニス部なんて名ばかりだから。




1度も振り返らず、そのまま自校へと向かった。







＊




切原side




なんなんだ、あの女。


あの女が向かった出口を見据え、茫然と立ち尽くす。



確かに、初め見た時は可愛いなぁって思ったぜ？


でもなんなんだよ！あの口の悪さは！



部長の幼馴染っつーから強く言えなかったけど、
俺のこと“ワカメ”って言いやがった！！！




「皆、いいかい？」



幸村部長の声によって意識を取り戻した俺達は、
その声に振り向いた。



先輩達もかなり動揺していた。


あの部長が、散々暴言吐かれてんだぜ？

頬ひっぱられてて、笑う通り越して唖然だ。




「あの子、俺のだから手出さないでね」


「「は？」」



先輩達と声が被さる。


幼馴染じゃねぇのかよ。




そんな俺達とは裏腹に部長は、
恐ろしいほどの笑顔を携えている。


冷や汗がこめかみを伝った。


部長は怒らせたら一番怖い。






よし、あの女のことは忘れよう。







そう心に決めた、切原赤也でした。

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