幼馴染武勇伝【幸村様誕生記念企画】追加SS

幼馴染5 ページ5

結局私は少ししか食べることができなかった。

はぁ、とため息を吐く。




精市の性悪は今に始まったことではないのだ。


幼稚園児の時はまだ私の方が身長が高かったのだが、
それでもよく苛められてきた。


ミミズを背中に入れられたり、
泥遊びの時なんか顔から突き飛ばされた。

口の中に泥が入って泣いたのを今でも覚えている。



小学生の時なんか、上手く描けた絵を水浸しにされたし、
授業中に寝ていたら、鼻をカブトムシに挟まれていたり、
給食も、私の嫌いなものを当番だった精市は大量に入れてきた。

初恋の男の子への告白も邪魔されたし。


本当にずっとずっとひどい目にあわされてきたんだ。





でも、優しいところがあるのも事実。



私がクラスの男子に苛められてたら、
相手に殴りかかってくれたことがあった。

普段の精市とはかけ離れた姿に皆驚いてた。


でもその後に聞いた言葉に唖然したんだ。


『Aを苛めていいのは俺だけだから』


とかなんとかかんとか言ってた。


幼いながらも、本気で殺意が芽生えた気がする。




ああ、思い出しただけでも腹が立つ。





「脱毛クリーム頭に塗ってやろうか」



自然と口から出た言葉。

勿論目の前に精市がいる。



「なんでそんなにハゲに拘るんだい？」



やれやれと首を振る精市。

全然効いてないようだ。



「お前なんかハゲちまえ
そしてカツラ生活の苦渋を知れ」



今私はかなり冷めた瞳をしていると思う。

餃子の恨みは消えないのだ。




「カツラ生活の苦渋を知ってるのかい？
もしかして、Aハゲてるの？」


｢黙れ、腹黒｣



くそぉ、顔だけはいいのに。

これで性格さえよければ……。

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