幼馴染武勇伝【幸村様誕生記念企画】追加SS

幼馴染19 ページ19

「馬鹿みたい……っ」




私は、もう精市の傍にはいられない。


この感情に気づいてしまった今、
もう戻ることなんて不可能だ。





餃子、沢山食べておけばよかったなぁ。


なんて、そんな事を思った。





習慣となった、精市の家への行き来は、もうできない。


精市の作った花壇は、もう見れない。


誕生日に、トイレットペーパーだってあげれない。





そっか、全部終わりだ。






「好き……っ」



1度呟けば、全部溢れてくる。

込みあげる感情に、
どれだけ精市が好きだったのか気づかされた。



普段の意地悪な性格も、
たまに見せる優しい笑顔も。


本当は、全部大好きで。



私だけが、知っていたかった。







……らしくない。






今度会うことがあるのなら、
髪の毛ぶち抜いて、ハゲにしてやろう。


それでその髪の毛を、生ゴミの中に捨ててやろう。



――――――――会う事が、あるならば。






「精市のハゲ」


もう泣いたりしない。



「妄想とかまじでキモい」


私に恋愛なんて、似合わないから。



「ミミズなんか、誰が食うか」


もう、全部捨ててしまおう。



「精市のばーか」


この気持ちも、思い出も。


明日になれば、きっと笑えるから。









「精市なんか……大好きだっ」


「――――――――俺も」




体が、熱い何かに包まれた。

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