幼馴染武勇伝【幸村様誕生記念企画】追加SS

幼馴染2 ページ2

｢だから、ハゲてないって
馬鹿なの？……ああ、馬鹿か｣




う・ざ・い。

ニコニコと笑いながらも、
どうやってこいつの息の根を止めてやろか、
と考えていた。




｢仕方ないから誕生日プレゼントは育毛剤にしてあげる｣



私はふんっと得意げに笑った。



｢ねぇ、俺の話聞いてた？
耳鼻科いったら？本当に大丈夫？｣




何、その心配そうな顔。

捻りつぶしてやろうか。

原型留めない形にしてやろうか。




｢……っ｣




くそぉっ、言い返す言葉が浮かばない。


第一、こいつに勝てたことなんて１度もなかった。

口喧嘩も、勉強も、運動も。
良くて引き分け。

学校が違うから、
こいつを超えるなんて無理なのかもしれない。





｢ま、いいや
それより、誕生日プレゼントは何くれるんだい？｣




もうどうでもいい。そう顔に書いてあった。


再びベッドに座った精市は、首の裏で腕を組む。

うざいうざいうざい。




｢トイレットペーパー｣



嫌味のつもりでそう言ってやった。

毎年毎年せがまれて、何かしらあげていたが、
もうそんな年でもないだろう。




｢そう、じゃあAの時はミミズ１年分あげるよ｣



精市は笑みを崩さず淡々と言い抜けた。



「ミミズ１年分って何？
ミミズを何かに使うわけ？」



馬鹿にしたように、そう言ってやった。

ミミズの使い道など、ないのだから。




「え？食べるんでしょ？」



こいつ頭大丈夫か、と精市の顔が言っている。





殴っても、いいだろうか。


殴っても、いいだろうか。





「誰が食べるか、ぼけぇっ！！」




我慢の限界だった。

うざい、泣きたいくらいうざい。


余裕な顔して毒を吐くにも限界というものがある。


だが、今までの経験上。

こうなった時が奴の本領発揮となるのだ。




「へぇ、食べないんだ
人の厚意を無駄にするんだね」



まるで私が悪者だとでも言いたげな顔。



「うっさい！！」



拳を握って声を荒げると、精市の顔がにやりと歪んだ。



ああ、負けた。

静かにそう思った。




「うるさい？俺は話したらいけないの？
人権もくそもないね、政府に問い合わせてみたら？
尤も、君みたいな人間の意見を聞き入れてくれるような人はいなだろうけど」


「……っ」


「大体さ、自分が悪いのに俺をハゲ呼ばわりするとか、
ほんと、そんなに早く逝きたいの？
名誉棄損で訴えるよ？」





誰かこいつを止めてください。


お願いします。

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