This CRAZY loVe 2

89 ページ39

それからの日々は毎日忙しかった



急に決まった転勤のせいで
部屋を決めに行く暇もなかなかなかった


無理を言って1日休みをもらい日帰りで部屋も探しに行った


そこからは引越しの準備だった


いらないものは処分
断捨離のいい機会だと思って頑張った

部屋に段ボールが溢れていく


かずくんも後任者への引き継ぎのため帰りの遅い日が続いた


1人の夜はついいろんなことを考えてしまった




もし





私がこのまま残って藤ヶ谷くんといたいって言ったら？






かずくんとは別れるって言ったら？





そんな勇気なんてあるはずもないのに
妄想の中では
私は藤ヶ谷くんと2人の生活を始める





そしてまた現実に戻ってきては段ボールの山を見てゲンナリした



「はぁ……やらなくちゃ。」


新しい段ボールを1つ組み立てていると電話が鳴った



LINE電話の着信音


画面には［ガヤ］の文字



藤ヶ谷くんだ




「もしもし。」



『もしもし？
　今、大丈夫？』



「うん。、、
　大丈夫。」


藤ヶ谷くんからの初めての電話
電話から聞こえる声にドキ ドキした


『まだ旦那さん帰ってない？』


「うん。
　まだ。」


『そっか。
　26日さ……ごはん俺が準備するから。
　って言っても作るわけじゃないけど。笑』


「いいの？」



『いいよ。
　……うちで飲もうよ。』



「ふふ。
　酔って寝ないでね？」



『はは。
　飲み過ぎないように気を付けます。』





………ガチャ バタン




ドアの開く音がした



ヤバイ



『ただいまー。』



「あ、おかえり。」



かずくんの声が藤ヶ谷くんにも聞こえたのだろう

一瞬の間ができた



『……旦那さん？
　じゃ、またね。』



「あ、うん。
　楽しみにしてるね！
　バイバイ。」



そう言って電話を切った



『ごめん。
　電話中だったんだね。』



かずくんにそう言われて



「うん。
　なっちゃん。
　東京戻ったらランチ行こうって約束したの。」




私はまた慌ててウソをついた




そして着信履歴を消した

90→←88 F side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す