This CRAZY loVe 2

86 ページ36

それから数日後



お昼休憩を取るために休憩室に入り
ケータイを取り出した


かずくんからの着信が2件も残っていた



珍しい………




いつもは残っていても1件で私が出ない場合はLINEでその内容が送られてくるのに……
LINEも来ていない
そんなに緊急なの？



折り返し電話をかける



Prrrr.....




『もしもし。A？』



3コール目でカズくんが出た



「もしもし？どしたの？」



『何回も着信残してごめん。
　急ぎで言った方がAの会社的にもいいかと思って……。』


「うん。何？」


……………




……………




数秒の沈黙の後




『転勤になった。』




「えっ……………。」




突然だった




「え？
　人事の発表ってまだ先じゃなかったっけ？」


確か4月と10月だったはずじゃ……


『そうなんだけど……
　今回は急遽、退職と異動があって……
　ごめん。
　ほんとに急なんだけど8月には引っ越しだから。』


そう言われて
目の前が暗くなっていくのを感じた
かずくんの声がどんどん遠く感じていく


「うそ………。」


『だから早めに職場の人に言ってもらえるかな……？
　迷惑かけてしまうことになるから申し訳ないんだけど……。』


あと半月ほどしかない


こんなに急に辞めることになるなんて



「わかった……会社には伝えておく。」



『ごめん。
　詳しいことはまた帰ってから話すから。』


そう言って電話が切れた



いつかはあるとわかってはいた




けど急すぎて気持ちがついてこなかった



伝えなきゃ……



リーダー？
北山くんでいいのかな？


さっき配達から帰ってきてた気がする……



北山くんは受付で伊藤さんと笑いながら話していた


『あれ？
　Aちゃん、休憩早くない？』

私に気付いた伊藤さんがそう声をかけたから北山くんも振り返る

そして一瞬で私の様子がおかしいことを見抜いた

『Aちゃん？
　どした？』

心配そうに声をかけてくれる



「あの………夫の転勤が決まったの。
　8月には引っ越しだから今月で退職……させてください。」


言い終わると同時に
ポロポロと涙が溢れてきた



ここを離れたくなかった




藤ヶ谷くんのことをなしにしてもこの職場は本当に居心地のいい場所だった



子供みたいに泣く私を伊藤さんが泣きそうな顔で抱きしめてくれた



『Aちゃん…………寂しくなるね。』

87→←85

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す