This CRAZY loVe 2

84 F side ページ34

その日は
『考えさせてほしい。』
ととりあえず保留にさせてもらった



1人になって
換気扇の下でタバコに火をつけた


煙が換気扇に吸い込まれていくのをぼーーーっと見ながら
考えるのは美月のこと





そして





Aさんのこと






美月に
『もしかして………彼女できた？』
って聞かれて


『………できてないよ。』
そう答えた


『よかった。』
ホッとして笑う美月を見て
この笑顔が好きだったなって気持ちが湧いた

Aさんは彼女とは言えない

俺が勝手に好意を持っていて
それに応じてくれているだけだ


Aさんが独身だったらよかったのに


そう思うと同時に


だとしたら出会えてないな……


と思い直して自嘲した



彼女と出会えたのは彼女のご主人が転勤でこの町に来たから

もっと言うと俺が美月と別れたことで
その心の隙間にすんなり入ってきたのが彼女だったから
好きになったのかもしれない


いろんな偶然が重なった結果でこうなっただけのこと


Aさんが既婚者である以上
俺たちは前に進むことはない



………むしろ俺が困らせてるだけなのかもな



そう思うと離れた方がいいのかもしれないと思った



美月のことは嫌いで別れたわけではなかったし
やり直せると思っていた


気持ちも公にできず
月に2回しか一緒に過ごせないAさんとの関係に
少し寂しさもあった



なのにどっちも選べない



優柔不断な自分に嫌気がさした




『サイテーだな、俺。』



苛立ちを抑えるように
タバコを灰皿に押し付けて火を消した

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