【stpr】組長娘と婚約者候補【な組】Part4

#146 ページ15

その言葉に私が返した言葉は。

「知ってる」

「それだけですか！？」

いきなりだと照れるタイミングを失う。

でも動揺はしたはしたし、手を握られた行動にはドキッとしたし。

「分かりました、質問を変えます」

さとみはそう言ってまた私の目を真っ直ぐ見た。

「Aさんは俺のこと好きですか？」

彼も少なくは感じている。

私が彼らに向ける視線はもうただの婚約者候補ではないということを。

でも……ドキドキはするけど、でも……。

「わかんない」

「わかんない！？」

「いやちょっとした語弊はあるんだけど」

人としては好きだけど恋人に向けるすきとかなのかは分からない。

何しろ恋はしたことないに等しいから。

だからどんな感情が恋なのかは分からない。

それにまだ5人デートしてない。

ドキドキする。

それだけでこれを恋だと思いたくはない。

それが私の今の答えだ。その意志を伝えると。

「そうですよね、Aさんはそうゆう人でした」

そう言ってあははっと笑うさとみ。

裏社会で20代後半でこんな無邪気な笑顔出来るのは才能のひとつかしら。

そうゆうところは好きだと自信を持って言える。

「あと声が大きい、人にジロジロ見られたらどうするのよ」

「あ、すみません！あと明日のデートの相手は？」

「ジェルと」

そしてゴクリと言うような雰囲気で「……場所は？」と聴かれた。

「……？水族館」

「Aさん、ゲーセンとか行くならるぅとと言ってください」

え、莉犬と行こうかと思ってたのに。

「なーくん、ジェル、莉犬は俺らの中ではゲーム下手なんです」

そうだったんだ……。それは知らなかった。

まだ知らないことは沢山あるのかもな……。

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