7.鬼の子 ページ8
『あなたは"鬼の子"よ、あなたたちは呪われているんだわ…！』
なにかを守るためには、なにかを切り捨てなくちゃいけない。
そう学んだ。
＿おかあさんも、そうだったのかな。
ただわたしは遠ざかっていく背中が見えなくなるまでその場を動かなかった。
『おめぇがAか。』
すやすやと眠る幼いエリを抱えてわたしはうつむいた。木製の門とその人はとても大きく見えた。
『…』
『…肯定ってことでいいな、そんじゃァおめぇが抱えてるそっちが壊理だな。』
どうやらこの人はわたしたちのおじいちゃんらしい。
『今日からここがおめぇらの家だ。』
今まで会ったことないのに、急に血がつながってるなんて、ここが家だなんて言われても、…困る。
くちびるを噛みしめる。
『そんな顔さらしてんじゃねぇ、ガキはガキらしくしろってんだ。』
重たくて大きな手が髪をぐしゃぐしゃにした。
＿＿
＿＿＿＿
エ『おねえちゃん、つの〜』
『へへ、エリもつの〜』
エリは楽しそうにわたしの額にある二本の角を好きに触った。しばらくするとムニッとわたしの頬をつまんだ。
『ひょっほ〜ひゃべえあいよ〜』
エ『おねえちゃんへんなの！』
きゃはは、とたのしそうに笑う。
ひざの上に乗ってるエリはわたしの顔を好き放題にいじる。ぐいぐい口の端やらほっぺやらひっぱりまくりだった。
ここへ来たときに覚悟した。
エ『ほっぺへんなのー！』
＿＿わたしがこの子を守るんだ。
エリは妹、家族、＿＿そしてわたしは"お姉ちゃん"なんだから。
＿＿
＿＿＿＿
『何で自分のことを"鬼"だなんて思うんだ、おめぇは。』
隣に座ったおじいちゃんが話しかけた。
この時のことを、なぜかよく覚えてる。
『…お母さんがわたしのこと"鬼"だって言ってたよ。』
『…』
額の尖ったそれを触る。
『おかあさんは悪くないんだよ、わたしが悪いの。』
＿＿おとうさんを消しちゃったから。
"個性"が、暴走して…
『おかあさんはきっとすごく怒ってるの、わたしが悪い子になったから。だから……行っちゃった。』
悪いことをした時はごめんなさいって言わなくちゃいけない。……でも、とりかえしのつかないことをした時はどうすればいいんだろう。
『いいか、A。』
…＿＿
『人間から"鬼"なんてもんは生まれねぇ。』
『＿＿おめぇは"鬼"なんかじゃねぇよ。』
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
