29.それはまるで機械のような ページ30
治『おまえは…＿＿異常だ。』
わかってる。
ぺたぺたと裸足の足音が小さく響く。
『あなたは鬼の子よ、呪われてるんだわ。』
＿＿わかってるよ。そんなこと。
「望んでない！！」
緑「何で…！駄目だ…！」
緑のお兄さんの足から流れ出る血、地面は血で濡れている。
治「A……壊理はどうした？」
「もういいでしょ…？あの子は！」
すごい威圧感だ。こんなこわいのとヒーローは戦ってたんだ。
「あの子は、ここには来ないよ。もう、帰ってこない…！何をささやいてもむだ…わたしが"絶対来れないよう"にした。それに…あの子にはヒーローがついてる！」
治「ッチ…小賢しい娘だ…！！」
この余裕のない状況。時間がたてばたつほどヒーローはきっと増えてくし、あの男ももうつかれてる。
だったらここで取る選択肢は決まってる。
治「なるほどな…A、＿＿おまえ最初から自分がたすかる道は捨てていたわけか。」
緑のお兄さんが息を飲んだのがわかった。
「＿＿そうだよ。」
さいしょから捨てる気だった。
最大の決め手は…"わたし"自身。
緑「Aちゃん！！！」
すごく怒った、焦った様子で叫ぶ。
「お兄さん、ありがとう。もういいの…ごめんなさい。」
緑「何でっ…そんなこと！！！」
…もう、ずいぶんと。
いろいろ切り捨ててきた。
感情も、自分も、 人の命でさえ…＿＿。
"エリのために"
壊れてる？
そんなことわかってるよ。
鬼の子？
鬼にならなきゃできなかった。
悪魔にでも鬼にでもなる。
「わたしが…一緒に行く。だから、もうやめて…！！」
あの男へ叫んだ。
＿＿
＿＿＿
"エリのためならなんだってする"
こびりついたそれは他人から見れば＿＿おぞましいものとしてうつるだろう。
それは機械的な、装置のような、人間性がどこか欠落しているような……絶対的な彼女の行動原理。
治「おまえは普通じゃない…自分を捨ててまで妹を救いたいのか？」
異常者を見る目で治崎は問う。
そんな愚問に＿＿彼女は薄く笑ってこう答える。
「そうだよ。」
だが
＿＿出来ることなら
「抵抗なんてしない、だからお兄さんと…戦うのはもうやめて。」
…切り捨てるものはもう、自分だけにしたい。
緑「＿＿＿、」
そんな小さな、願いごと。
最初に切り捨てたモノは自分自身。
…結果、11歳の少女は摩耗していった。
どこか壊れてしまった。
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
