2.他愛もない話 ページ3
「今日はどんな髪型がいいかなぁ〜？」
エ「おねえちゃんがやってくれるなら何でもいいよ。」
「わ、それが一番困っちゃうよ。」
ふたりであははと笑いあう。
ベッド脇に座ってエリの髪をクシで整える。
「い"っ…！」
エ「！、おねえちゃん？」
床にクシが落ちた。
エ「おねえちゃん！」
「あはは、ごめんね。ちょっと腕が…」
じわりと赤い色が包帯の上に滲みでてきた。
それを見たエリは顔色をかえる。
「大丈夫！このくらいへーきだよ！」
エ「だって、ちっ…血が…！」
「すぐ止まるよ。」
ニコッと笑うと不安そうな顔をうかべるエリを前を向かせてまた髪をいじった。
＿＿いつまで、ここにいればいいんだろう。
わたしたちの世界は"ここ"、二人一緒にいる部屋、そして……＿＿＿
『……う"…、うぅ、』
『体力が尽きてきたな……仕方ない。"リセット"だ。』
あの場所だけ。
エ「おねえちゃん…大丈夫？」
「ん、大丈夫だよ？それよりほら！でーきた！」
エ「わあ…！」
テッテケテーン！
わたしは腰に手をおいて自慢気にふるまった。
エ「かわいい…！どうやったの？」
「へへ、本を見てやったんだよ！これこれ！」
あらかじめエリの為に印をつけておいたやつを指さした。
エ「すごい、おねえちゃん見るだけでできるの？」
「やり方をみてやればいいんだよ。＿＿おねえちゃんに任せなさい！」
エ「わー！」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
エリはうれしそうに拍手した。……ほんとうはもっともっといろんなことをさせてあげられたらな。
「今日はふんぱつしていろんな髪型やったげる！すきなの選んでいいよ！」
エ「ほんと…！？」
「ほんとほんと〜」
エ「えっとね、えっとね…」
わくわくしたみたいに本を膝の上でひろげて見る。
その様子を後ろから眺めた。
……わたしたちはここから出られないから、"知識"は本でしか吸収できない。
よくわからないままなにかの実験に協力させられて、…わたしたちの"個性"がひつようだって言ってた。
包帯だらけのわたしの体。
エリより"個性"が強いから自分からたのんでエリの分もできるだけ実験をうけるようにしてる。
エリには、笑っていてほしい。傷ついてほしくない。
エ「おねえちゃん。」
「あ、決まった？」
エ「うん…これがいい。」
「よーし、おねえちゃん頑張っちゃうぞ！」
すこしでもつらいのを無くせたら…。
全部から守ってあげられる力があったら。
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
