1.いつもの日常 ページ2
「"いつもの"時間です、今日も頑張ろうね。」
部屋に強い光がさしこんだ。
扉の向こうから"いつもの"時間だとマスクをつけたお兄さんが近づいてくる。
広げていた絵本を閉じてベッドから降りた。
エ「お…おねえちゃん、」
さっきまで隣にいたエリはすごく怯えた顔でわたしに手をのばした。
だからいつもみたいにわたしはふりかえってこう言うんだ。
「大丈夫だよ、エリ。すぐ戻ってくるから。」
笑顔でそう言ってわたしはいつもみたいにお兄さんの後をついていった。
＿＿＿
＿＿＿＿＿
ｶﾞﾁｬ
エ「おねえちゃん…！」
扉を開けるとすぐに飛びついてきたエリを抱きしめた。
「大丈夫、わたしはこんなに元気なんだから！」
ちからなんて全然ないけど腕を上げて元気ポーズをとってみる。
エ「ほんとに？」
「ほんとほんと！ねぇ次はなにして遊ぶ？」
エ「……ビースで、うでわ作るのであそびたい。」
うつむいて元気がないのを見て
「じゃあおねえちゃんとどっちが早く作れるか競争だ！」
エ「……うん！」
わたしが笑顔で手をひくとエリは笑って応えてくれた。
＿＿＿これがわたしたちの日常。
いつもの…日常。
エ「わあ、おねえちゃんのすごくきれいな色。」
「ふふ、そうでしょ！エリのもすっごく綺麗だよ。」
エ「えへへ…」
頭を撫でるとほっぺをあかくして喜んだ。
「じゃあ今日つくったやつも"宝箱"のなかに入れなくちゃね！ぜんぶ持っておいで。」
エ「うんっ」
ベッドの下から大きめの箱を取り出す。
エリが手いっぱいに持ってきたビーズブレスレットをそこへ入れた。
エ「いっぱい増えたね！」
「そうだね。」
エリはこれを気に入ってて、わたしたちは毎日自分たちでつくったものをここに入れていく。
"なにかを自分でつくる"、っていうのはわたしたちからしたら新鮮なものだったから。
「こんどはどうしようかな〜、またりんごでも持ってきてもらおうかな。」
エ「うん…」
目をこすって眠そうにしているのに気づいてベッドに入った。隣をたたくとエリは駆け寄ってきて入ってきた。
ふたりで入ってもベッドには充分なスペースがある、いつもこうやって寄り添って眠る。
「エリ…お姉ちゃんが守るからね。」
エリは、わたしが守らなきゃ。
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たんと(プロフ) - 前読んであの感想をもう一度！と思ったらやっぱり泣いてしまいました…素敵な物語をありがとうございます！ (2月12日 14時) (
レス) id: f0ade18a0c (このIDを非表示/違反報告)
赤い羽根募金ちゃま〜 - 11歳？...やべぇ、同い年だ...((((( (2022年12月1日 23時) (レス) @page24 id: 78bf642dad (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - 葵さん» コメントありがとうございます！読んでいただいて、嬉しいかぎりです！ (2022年7月22日 0時) (レス) id: 16ca5ec74a (このIDを非表示/違反報告)
葵 - なんかもう…小説家になれるんじゃないですか？それくらい感動しました！ (2021年10月20日 7時) (レス) @page50 id: 6b19049b00 (このIDを非表示/違反報告)
pino(プロフ) - みづきさん» 泣いてくださったなんて、とても嬉しいです(*^^*)、コメントありがとうございました！ (2020年5月2日 23時) (レス) id: 7816ba7c93 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：pino | 作成日時：2020年1月7日 12時
