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「はい、できたよ」
パスタとサラダを机に並べ、私も椅子に腰かける。
「いただきます」
どうやらさっきの事が恥ずかしかったらしい、カズが私の目を見ない。
私自身、勝手に体が動いてしまったわけで、ものすごく穴があったら入りたい状態なんだけど、相手が照れていると逆に平気になってくるから不思議だ。
まぁカズの場合、照れてるというよりも私に弱い部分を見られたことが屈辱的というか、たまらなく恥ずかしいのだと思う。
「あのさ」
妙な気まずさの中、声を出したのは私だった。
「なに」
聞いていいことなのか、正直わからない。
でも、何となく、カズが聞かれたがっているような気がした。
「カズのお父さん、どうして亡くなったの？」
エアコンの機械音と時計の針の音だけが大きく響く。
時計の秒針の音って、普段は全然聞こえないのに、どうしてこんな時は大きく聞こえるんだろう。
「病気、ただの病気」
「そっか」
やがてフォークの先端がお皿に当たる音がして、秒針は聞こえなくなる。
おかしいね。
秒針の音が聞こえない今の方が、時の流れを感じる。
「でも、天罰なんだよ」
「天罰？」
指先が冷たい。
きっとエアコンのせいだ。
「おやじ、最低な男だから」
また、その顔。
何てことないように、冗談めかして笑ってみせて。
だけどその目は泣いている。
「どうしてそう思うの？」
人の本音を引き出すのは難しい。
だから全てを零さないように、１つ１つの文字を、絞り出すように問いかけた。
「全部、壊したから」
何か言わなきゃ、そう思うのに言葉が浮かばない。
どんな言葉を紡いでも、軽忽に思えてならない。
「あんな奴、死んで当然」
ゆらり、カズの瞳が揺れる。
カズの瞳が揺れる時、それはカズが嘘を吐いている時だ。
だってこの男は馬鹿みたいに優しい。
どんなに酷い言葉を吐いても、人の心には傷を残さない……残せない。
そして、揺れているその瞳は酷く冷たい色をしているのに、憎悪の中に愛が見える。
琴美さんの絵と、同じ感情。
いつか、触れられるのだろうか。
その、硝子の向こうの風景に。
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かおり(プロフ) - お願いですから、せめて1話だけでも書いてくれませんか… (2019年7月5日 13時) (
レス) id: 9aa4c2db67 (このIDを非表示/違反報告)
M(プロフ) - 更新…待ってます！ (2019年5月21日 1時) (レス) id: b29790e5ba (このIDを非表示/違反報告)
さいたん(プロフ) - 更新楽しみに待っています。 (2019年4月21日 16時) (レス) id: aceac62259 (このIDを非表示/違反報告)
涼杜兄妹(プロフ) - 切ない…今後どうなるのかとても気になります。更新楽しみに待っています、頑張ってください！主人公ちゃんがんばれ！！ (2018年3月12日 13時) (レス) id: 400e48a6ce (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - 。・゜゜(ノД`)(。>д<)( ノД`)…(´д｀|||) (2018年2月14日 20時) (レス) id: 84fdbed2f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ふじしの | 作成日時：2017年9月30日 15時
