記憶の欠片 ページ36
あき子のラブラブ講話を聞き終わり、少しやつれ気味の松村さんのところへ行く。
『お疲れ様です。無事終わってよかったですね。』
「それは企画に対して?それともお姉様たちへの対応?」
『どっちもです』なんて言えば松村さんは「疲れた〜」と犬の耳が垂れたように肩を落とした。
パァン!!パン!!
いきなりの大きな音に驚き、「うわっ!びっくりした!」と肩を震わせた松村さんを横目に騒音の方に視線を向ければ、何人かが集まりクラッカーを鳴らしていたようだった。四散して飛んできた紙の欠片を拾う。
あれ?前にもこんなことあったっけ。何かの破裂音、どこかで聞いたような。
刹那、暗い部屋で外の大きな破裂音に驚いた夜を思い出す。
あ!大我さんと私の部屋に着替えを取りに行った日だ。あの日は花火大会で、電話中に大きな花火の音が聞こえて驚いたんだっけ。あの時なんで電話してたんだっけ。
あぁ、仕事の電話が入って、慌てて鞄からスケジュール帳とペンを出して、、、
ペン!あの時落としたんだ!!花火の音に驚いて!
『思い出しました!ペン落としたの!』
「あぁ!落としたって言ってたお気に入りの?」
『そうですそうです。お先に失礼します!』
あ〜すっきりした!皆さんが帰り始めている中を、荷物をまとめてかき分けるようにしてオフィスを出る。
その時、松村さんの携帯に一本の電話が入っていたのを知らずに。
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作者名:Momo | 作成日時:2020年2月27日 18時