キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜 2

34 F side 会いたい ページ3

渉の スマホを 呼びながら
半かがみに 腰を落とし
パラソルから抜け出す。

人目を 気にしつつ 建物の 陰に入る。

手の先、足の先まで 感じる 胸の 動悸。

(何かあった･･･ 宏光に 何か あったんだ//)


現場は 今にも 撮影が 始まりそうな 動き。
時間が ある時 と 渉は 書いてたけど･･･
《ある時》まで 待てるハズが ない。




『時間がある時 電話ください。』

LINEでは 伝えられない 事。
一言では 話が終わらない 事。
そして 緊張が 伝わる 丁寧語 ･･･。

明らかに 宏光に 何かあった ･･･
それしか ない。


『･･･ もしもし ･･･』

「渉ｯ！ なにｯ？ どした？」

『･･･ 時間、いいの か？』

「宏光？ 宏光に 代わって//
なぁ、宏光に 何か あった？ だろｯ？」

『･･･ ･･･ 今 ･･･みつは･･･寝てる･･
･･･ やっと だ。･･･やっと 寝たとこ。』

「･･･やっと 寝た？ 今？」

そういえば 渉の声もかなり 疲れてる。


「･･･ 宏光は ･･･ 大丈夫 ･･･なんだ よな？」

身体の 芯から 震えが 湧き上がり
スマホを 持つ手にまで 伝わってくる。


『･･･みつは ･･･ 太輔には 言うなって･･･
実は･･･ 昨日の 収録で ･･･』


昨日 一日 ･･･
俺の 知らない所で 宏光に起きた
一部始終 を 聞いて･･･
眩暈がしそうだった。


パニックの 発作で 倒れた･･･
また いつもの薬で 吐いた･･･
昨夜は ずっと うなされ 暴れて
ようやく 寝付いたのが さっき･･･

その 全ての 発端が ･･･
宏光の《初めて》を 無理矢理 奪って
深い傷痕を 残した人 との 共演･･･だなんて！


Gさんとの 共演 てだけで
充分 プレッシャー なのに･･･

ようやく 忘れようと･･･乗り越えようと
してた トラウマ との 再会は ･･･

宏光の 心に どんだけ のしかかって
その 尖った棘で 傷付けたんだろう･･･。

(･･･ ひ ろ み つ ｯ// ･･･)



会いたい ･･･今すぐ 飛んで 帰りたい//

きっと 青い顔して 寝てるんだろ？
ゼイゼイ息して 喉 傷めて ない？
また 過去を 思い出して うなされて ない？

早く この腕に スッポリ包んで
大丈夫だよって ギュッと 抱きしめたい///



「･･･渉 ･･･ ソッコー 帰るから･･･
終わったら ソッコー帰るから////
それまで 宏光のこと ･･･お願い シマス･･･」

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