キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜 2

51 Sa side ワインで ページ20

照度を 落とした リビング。
丁度 コタツの 上にある
天井の 照明が 淡い 光を 放つ。

ソファで 構わないと 言ったのだが
客用の 布団一式を ソファの横に 用意される。


「･･･買い置きって ･･･ これしか なくて。」

そう言って 藤ヶ谷さんが ワインの ボトルと
グラスを 二つ コタツの 上に置く。

「いやいや// 僕に 気遣いは いりませんから」


珍しく お酒でも ･･･
と言ったのは 藤ヶ谷さん の方･･･。





.
北山さんと 二人で シャワーを浴びて貰い
ソファに 北山さんを 寝かせ
吐いてばかりで 栄養不足だから と
点滴を 繋いだ。

依然、俺が 触れれば 一気に 緊張する 身体。
極力 触れない様に 処置を施す。

5分もすれば 北山さんの 意識は
呼び戻される事のない 深みまで
･･･ 沈んで行った。

今夜は 鎮静剤の 力を借りてでも
彼に《安眠》を 与える と 決めていた。
その為に 我が家の 風呂が 壊れたなどと
白々しい 嘘まで ついて。

揺らしても 抱き上げても
失った意識を 取り戻す気配のない
小さな身体を 藤ヶ谷さんに 託し
寝室へと 連れて行った。

壊れ物を 扱う様に ･･･
そっと 北山さんを ベッドに 降ろし
若草色の ケットで 彼をすっぽり覆う。
その上から ブランケット、羽根布団を掛け
隙間の 空気を抜く様に
足元から 肩口へと 軽く 撫で上げる 彼。

俺は 左腕から 伸びる ルートチューブの先を
ベッドの 脇に立てた ポールに 固定する。


「これで･･･6時間は 大丈夫でしょう･･･。
ぐっすり 休んで 貰いましょう。

藤ヶ谷さんも お疲れで･･」

「先生･･･ 良かったら お酒でも･･･？
俺が 留守してた間の 様子も
聞きたいですし･･･。」


北山さんには 分からなかった 様だが
明らかに 疲れが見える 目の周り。
かなり涙を流したと 分かる 瞼の 腫れ。

早く 休んだ方が いいのだが
今の 藤ヶ谷さんを 癒すのは
《眠り》よりも《会話》なのかも 知れない。

快く 申し出を 受け容れた。




.
やはり 横尾さんから
一通りの 事は 聞いていた ようで、
特に 藤ヶ谷さんが 驚く様な
新しい 情報を 与える事は なかった。



ワインのボトルが 空に なった頃･･･

俺の目を 真っ直ぐ 捉えたまま
藤ヶ谷さんが 投げた 問いに
彼の 頭に浮かぶ 近い未来を 感じ取る。



「･･･先生･･･ もし ･･･

もしも 宏光が ･･･ 今の 状況から
違う 環境に 変わったとしても ･･･
今まで通り
宏光を 診て貰え ます か？」

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