キミが光 ひかりヒカル〜年の瀬編〜 2

49 Y side スキヤキ ページ18

「さすが 藤ヶ谷さん//
やっぱり ですよねー！

なんせ 藤ヶ谷さんは
北山さんの《特別な人》ですもん ね･･･ﾌﾌ//」

そう言って バチバチと
妙な 瞬きを みつに 見せる 佐野先生。


「ｯ///！ ばっ！ なっ！」

茹でたての タコみたいに
顔から 湯気たてて 箸を振り回す みつ。

(《特別な人》･･･か。･･･確かに な。)



.

みつの 吐き気が治まるのを 待って
4人で 食べ始めた 晩ご飯。

ロケ泊帰りの 太輔を 労う感じで
しかも 手早く 作れて あったまる
みつの 好物が 入った メニュー。

《スキヤキ》

ま、何を作るかなんて 頭が回らない状態で
買い物したら こうなったってだけで。

今の みつが スキヤキの肉を
たらふく食べれるかどうか なんて
考えなくても 分かりそうなもんなんだが。


「んー// やぱ スキヤキ いーよな//
この 醤油と砂糖が 肉に絡んだ 匂いｯ//」


太輔の 横で
嬉しそうに 鼻をクンクン させてる
みつの 前には 青緑の 茶碗に入った お粥。

食べたい 気持ちはある様で
太輔が 取り分けた 肉を 小さく噛みきっては
口を もぐもぐ させて
呑み込む度に ふぅ と ため息を ついている。

そのペースは 異常に 遅く･･･

早く 元に戻って
頬いっぱい 膨らませた《もぐみつ》が
見たい と思ってしまう 俺。




太輔の 多少 強引とも思える
《ただいまハグ》で
みつの 接触トラブルは もう大丈夫なんだ
と思ったら･･･
そう 簡単な 事じゃあ なかった様で。

茶碗を 手渡す 俺の 手が触れた時には
やはり 身体が 跳ね上がり
息を乱して しまった。

「･･･なに？ びっくり しちゃった？」

「･･･ぉ ･･･おぅ ･･･」

それを 治める様に 背中に触れる 太輔には
多少 緊張の色は あるものの
拒む 様子を 見せない。


太輔を《特別な人》だと
佐野先生が 茶化して笑うのは そういう訳だ。

みつが 全くの 孤立じゃなく
触れるのを 許された人が いるってのは
今朝からの 事を思えば
有り難いことでは あるけど･･･


太輔 以外の 接触が アウト というのは
かなり シビアで 厳しい 現実 だ。

みつも もう 自分の 異変を
太輔に 隠し通せてるとは 思ってないだろう。


(･･･ これから どうすれば ････)


先の 不安を 隠したまま
俺は 口いっぱいに 肉を 放り込む。

取り敢えず 今は･･･
今夜くらいは 何も考えないで
《スキヤキ》を 堪能 しよう。


雰囲気だけ 楽しんでる みつの 代わりに。

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