赤と黒のLiberations6

【アドバイス】9　☆ ページ18

☆主人公サイド

一夜明け、テレビのスポーツニュースは軒並みマラソンだ。

「東京オリンピック、羽生くん何かするのかなー。」

まどかがテレビを見ながら、来年日本で行われるオリンピックの話題にふれた。

「夏のオリンピックに羽生くんが出るわけないでしょ。」

「違うよ。開会式で聖火ランナーとか！」

「羽生くんが聖火ランナー？」

あの色白のか細い身体で町を走らせるの？
有り得ないし！

「噂ではオファーしてるらしいよ？」

「何それ。私は認めない。」

真夏にそんなことさせたら死んじゃうよ。

「どうして？」

「羽生くんに走らせるとか、それ完全に使い方間違ってるから。羽生くんはラスボスなの。最後の最後に聖火台から登場する…くらいの扱いじゃなきゃ。」

それも、とびきり格好いい衣装をまとって。

「そうかなー。でも何かしら出て欲しいよね。オリンピックの顔なんだから。」

「期待はされてるよね。…あ、羽生くん！」

テレビのニュースがようやくお目当てのスケートコーナーになった。
昨日の試合で優勝したんだから、当然大きく扱ってくれるはず！

「ほんとだ〜、かわいい〜。」

「まどかは見てたの？ライスト。」

「あったり前じゃーん。にしても、あのジャッジ最悪だったよね。」

「え。」

ジャッジ…？

「羽生くんのジャンプに回転不足付けまくったんだよ？回りきってるってみんな言ってるし、点数だって有り得ない数字なんだから。」

そ、そうたったんだ…。だから羽生くん、終わった後に首をかしげたんだ。

今は画面が綺麗で誰でも拡大して見れるから、そういう誤審はすぐに炎上の標的にされるだろうな…。
やだやだ、私だったら絶対にジャッジになんてなりたくない。

やっと昨日の羽生くんの心情を理解できた所で、テレビ画面に試合の様子が映る。
もう朝からたくさん出てるのだけど、ニュースで流れる度に見てしまうのだ。

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