【Tシャツ】6 ★ ページ6
「コウくんだ。」
花山さんの口から名前が上がる。
コウくんって、確か以前ここで会った蒲鉾屋さんの…。
「おはようございます!蒲鉾のお届けにきましたぁ!」
元気良く車から降りて、すぐに荷台の扉を開ける。
「いつもご苦労さま。」
お母さんが頼んでいたようだ。
コウくんがお母さんにごく自然に蒲鉾を手渡したら、ふと助手席に座ってる俺と目が合った。
「あれ?!また羽生結弦!」
失礼にも呼び捨てにされて、それはこっちのセリフだと内心むっとする。
しかもここには二度しか来ていないのに、二度とも遭遇するなんて。
「お参りに来てくれたの。明日式典だから、そのついで。」
「そっかぁ!新しいモニュメントだ!」
おめでとうございます!と一応は律儀に挨拶してくれたので、こちらも笑顔で返す。
「ありがとうございます。」
「こないだはサイン貰っちゃってすみません!A、すげぇよ!あの羽生結弦がくる神社なんて、大々的に宣伝した方がいいんじゃね?」
「神社は神聖な場所なの。お客さんが多ければいいってもんじゃないよ。」
「そっかなぁ〜。観光客が増えたら、うちみたいなちっちゃい蒲鉾屋も売り上げ上がるんだけどなぁ〜。」
「羽生くんに頼ろうなんて100年早い。企業努力でなんとかしたら?」
「A冷たいなー。」
「普通だよ。」
ね、と同意を求められて、ようやく二人の会話が終わる。
花山さんがコウくんとやらに冷たいのかどうかは微妙だけど、おそらくこれが彼女の素なんだろうな。
「コウくんには容赦ないからな、Aは。」
お父さんさんが笑っている側で、お母さんさんがそっと俺に耳打ちする。
「あの子たち、子供の頃からの幼なじみなの。」
「そうなんですね。」
幼なじみか…。
自分にはそういう関係の子はいないからいまいち想像できないけど、喧嘩するほど仲がいいってやつかな。
「A、明日の午前中さ、ちょっと蒲鉾の試作品を試食してくれない?」
「またぁ?!」
「頼むよ〜。人助けだと思って。この通り!」
「もぅ…暇ならね…。」
今度は明日のお誘いか。
しかも午前中って、式典やってる時間じゃねぇか。
別に見ろとは言わないけど、はなから見る気がないのはいただけない。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時