【3パーセント】7 ★ ページ48
なんとか頭の中をスケートのことでいっぱいにして邪な気持ちを沈めた俺は、花山さんと向かい合って黙々とサンドイッチを食べる。
とはいえ、いつものようにあまり食欲はないので、そのほとんどは彼女の胃袋に消えそうだが。
「ねぇ羽生くん。もう九尾もいなくなったことだし、お守りいらない?」
ふと花山さんが、ここへ来てすぐにもらったお守りの事にふれたので、なんとなくポケットから出してテーブルに置く。
確かに狐耳以外、もう身体はなんともないし、持っている意味はない。
「これ?うーん…。」
でもせっかく持ってきてもらったのに返すのもな…。いつどこで役に立つとも限らないし、こんな小さい物が邪魔になるはずもない。
「いや、持ってる。これ以上新しいのはもういらないけど、せめて最後の1つは大事にするわ。」
花山さんが心を込めて作ってくれたお守りだ。
彼女の髪の毛が全部なくなる前に、ほぼ元の身体に戻れて本当によかった。
「でも九尾も退治したし、私たちがこうやって会うことももうないかもね。」
「えっ。」
ふと、花山さんの方からこの関係の終わりを示唆するような言葉が出て、思いがけず素で声がひっくり返る。
「もう私に抱きついたりしなくても大丈夫なんでしょ。」
……。
理屈はそうだけど、その類いのセリフは絶対に俺からだと思っていた。
九尾がいなくなった今、確かに俺たちが会う必要はない。
しかし、まだ解決していないことが一つあるのを忘れている。
「え、耳は?」
つか、狐耳を消すことができる方法を一緒に見つけてくれるんじゃねぇの?
「耳のことは、今の段階では私の力ではどうにもできないよ。」
「……。」
少し突き放すように言われて、今度は戸惑う。
「消す方法を調べるくらいなら協力するけど、特に今、悪い影響も無さそうだよね。」
「…まぁな。」
花山が言うように、幸い耳は誰にも見えてないようだし、触れられさえしなければ、至って普通に過ごせる。
まぁ俺らがこうして向かい合ってサンドイッチ喰ってるのも、元はといえば九尾が原因だから、一応一区切りした今、もう会う必要はないのか…。
「短い間だったけど、有名人のお友達ができて楽しかったよ。」
ありがとう。となぜかお礼を言われてしまった。
「こちらこそ…。」
「また神社に来たくなったらいつでも来てね。」
…なんだよ。
めちゃくちゃ笑顔で言われて、気持ちの整理がつかないのが自分だけなのが悔しくなる。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時