【3パーセント】5 ★ ページ46
「や、もう本当にだめだわ。触んないで。」
ゆっくりと丸めた身体を伸ばすのだけど、筋肉が変に固まってしまって、とてもぎこちなくなる。
「ひょっとして羽生くんの弱点だったりしてー。」
「ばっか、違げーし!」
「ムキになるのが怪しいな〜。」
人差し指を俺に向ける花山さん。
見た目によらずなかなか鋭い…。
「今度触ったら叩き出すからな。」
色々バレたくないのであえて冷たく言い放つのだが、にやにやするばかりであまり効果はない。
くっそ〜…これ彼女の言う通り、まじで耳が弱点みたくなってる気がする。
触れられると、むず痒くて変な気分になるというか、猛烈に身体が熱を帯びてくるのだ。
これは気を付けないと…まじでやばい。
一人変な汗をかいていると、ふと部屋のインターホンが鳴った。
「あ、羽生くん。ルームサービスじゃない?」
「あぁ、そうだわ。」
ある意味疲れた身体を奮い立たせて、入り口の扉まで行く。
途中、花山さんに意味深な視線を送りつつ、バスルームへ追いやってから、姿が完全に見えなくなるのを確認して、はっと息を吐く。
さぁ、これから忘れちゃいけない大事なことを確かめなきゃ。
この狐耳が普通の人に見えるのか、緊張の一瞬だ。
俺はゆっくりと扉を開けた。
「お待たせいたしました。」
男性ホテルマンの柔らかな声と共に、ルームサービスで頼んだサンドイッチがワゴンのトレーに乗せられてやって来た。
彼の視線はもちろんサンドイッチ。
部屋の中まで入って、きちんとテーブルに並べてくれる。
「ありがとうございます。」
てきぱきと働く背中をじっと見つめて。
さぁ、そろそろこっち見ろ。
こうして羽生結弦が可愛くお礼を言ってやったのに、気付かないとかは無しだぞ。
「ではこちらにご用意いたしましたので、片付けの際はまたフロントまでご連絡ください。」
そうにこやかに言われて、ついにこの一般人と対面するチャンスが訪れる。
この狐耳が、ファンからもらった物だという設定で説明する準備も少なからず出来てるから、突っ込むなら早くしてくれ、と心の中で祈る。
「美味しそうですね。」
他愛もない会話から、見えてるか見えてないかを知るのは、なかなか至難の技だ。
それでも、じっとホテルマンの視線に集中する。
「付け合わせのミニトマトをサービスさせて頂きました。」
おっ、まじで!
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時