赤と黒のLiberations2

【九尾退治】7　☆ ページ40

☆主人公サイド

お互い身なりを整えて、元いた椅子にテーブルを挟んで座る。

ほぼ裸で抱き合っていたことはひとまず置いておいて、それより大事なことを話し合わなければいけない。

羽生くんは黒いＴシャツにジャージを履き、私がここへ来た時と同じ服装に身を包んでいるのだけど、ただ一つ違うのは、頭に狐の耳が生えていることだ。

「これさ…みんなに見えるのかな…。」

羽生くんが不安げに言う。
これは、まだまだショーが続く中、人前に出ざるをえないという現実を踏まえての発言だろう。

「私にははっきり見えてるけど…。元々視える体質だからかも…。」

考えてみたらこの部屋には今、特殊な人間しかいない。
羽生くんは九尾にとり憑かれていた当事者だから、見えるのが当たり前かもしれないし。

「でもどうして狐の耳が生えたんだ…。」

羽生くんが頭を抱えてため息をつく。
身体から九尾がいなくなったとたんこの有り様じゃ、泣くに泣けないだろう。

「頭で九尾を退治したからかな。」

「場所が悪かったって？そんなの不可抗力じゃん。」

確かにそうだ…。
じゃあお尻で退治したら九又の尾が生えたのかな。

「とにかくさ、一度一般の方に見てもらえば？」

「一般の方…。」

こうして二人で悩んでても埒があかない。ここは第三者の介入が必要不可欠だ。

「あ、ルームサービス取ろう。ホテルの人の反応をみれば、他の人にも見えるかどうか分かるんじゃない？」

さすがに部屋から出るのは人目に付きすぎる。ちょうどお腹もすいた頃だし、何か食べたい。

「もし見えたら？」

「ファンからのプレゼントって言えばいいよ。」

その後のことは知らないけど。

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