【Tシャツ】4 ★ ページ4
★羽生サイド
目の前で喧嘩が始まったことで現実に引き戻された俺は、ようやく普段通りの表情を作る。
危ねぇ。あやうく人格を疑われる発言をするところだった…。
なぜならさっき、お父さんのおっしゃったこととほぼ同じ事を、自分も頭に思い描いていたからだ。
手では触れる範囲が狭いから、身体ごと広く密着すれば、九尾を追い出せるんじゃないかという安易な考えだけど、服を着たままじゃ効果は少ない。
ならば脱ぐしかないじゃねぇかという結論にたどり着くのは、ごく自然なことだ。
しかも真剣に考えていたから、それが男女の行為に近いものを連想させることに、全く気付かなかった。
「……。」
食後に出されたお茶を手に取り、乾いた喉を潤す。
落ち着け…。
とてもじゃないけど、そんな行為を花山さんにお願いすることはできない。
はっきりいってこれは…完全に友人としての域を越えてしまうから。
この方法は絶対になしだ。
また何か別の手段で、九尾を追い出せる方法をみつけるしか道はない。
「羽生くん、どこか痛いの?」
あまりの緊張に汗をかいていたので、大丈夫?と花山さんが心配そうに俺の膝に手を置いた。
「うん、大丈夫。九尾も落ち着いてる…。」
九尾は今直接関係ないのに、ごまかすためにわざと話題にする。本当のことなんて言えるわけないから。
「それならいいけど。あ、新しいお守りを渡しておくね。」
そう言って棚の上にあったお守りを取り、テーブルの上に置いた。
お茶の隣に、以前と同じ赤と黒にデザインされたお守りが並ぶ。
「ありがとう。」
さっきまでの妄想を頭の中から消し去ってそっと掴むと、時間が経った物よりはるかに効力が増しているのを実感する。
今朝用意してくれたのだろう。花山さんの存在がより感じられて、とても安心する。
「前渡したの持ってる?預かるよ。」
「あ、そうね。」
もうほとんど役に立たなくなったお守りを、座ったままポケットから取り出して、花山さんに渡す。
見た目は同じお守りなのに、触れるだけで脱け殻のようになっているのが分かるから不思議だ。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時