【夢の世界】9 ☆ ページ20
☆主人公サイド
な、な、何これ…。
オープニングの皆で滑るスケートも、その激しさにぶつかるんじゃないかと冷や冷やしたけど、その次のプログラムもすごすぎる。
試合しか知らない私は、スケートのエンターテイメント性の高さに、さっきから開いた口が塞がらない。
まるで別世界だ。
それに、あんなにはしゃいでる羽生くんを見るの初めてかも。
いつもは、(といっても数回しか会ってないが)ぶっきらぼうで真面目なだけなのに、今はスケートが好きすぎるオーラが出まくっている。
飛んだり跳ねたり、まるで猫みたいに縦横無尽に動き回る姿は、このショーを引っ張る盛り上げ隊長みたいだ。
ただただぽかーんと見ていたら、曲の途中から羽生くんが外国人の女の子と一緒に踊り始めた。
男でありながら、細い身体に白い肌に黒い髪。
これじゃあ服装以外、どちらが女性か分からない。
「今チューしなかった?!」
不意に近くのお客さんが何気なく叫んだ声にどきっとする。
確かに今、羽生くんが女性スケーターの背中に手を回して、顔を近づけたけど…。
でも皆が見てる前でそんなことする?
いやいや、私に抱きつきまくるくらいだから、平気でチューしそう。
曲の雰囲気もなんだか妖艶だし。
「…あっ。」
そんな中、演技中だというのに、一緒ちらっと羽生くんの足元に九尾のしっぽが見えた気がして目を凝らす。
お守りの効果が弱まっているからだろう。大胆にも、まとわりつくように氷の上をうろついていた。
これ絶対本人も気付いてる…。
それでも、慣れた足さばきで上手く避けながら滑っていて、まるでどんどん九尾に適応してるみたいだ。
すごい…。あの九尾を手玉にとってるみたい。
だけど、曲が終わってリンクから出る瞬間、九尾がいたずらっ子のように羽生くんの背中に飛び乗った。
さすがに我慢できなかったのか、振り払うように、羽生くんが衣装のベストを一枚脱ぐはめになる。
それを見たお客さんが、ギャーってなったのは謎だけど…。
大丈夫かな…。大人しくしててくれればいいけど…。
「羽生くん…。」
ここで祈ることしか出来ないのがもどかしい。
早く普通の身体に戻りたいだろうな…。
九尾を退治して、思い切りスケートしたいだろうな。
そんな当たり前のことを思いながら、次のスケーターに拍手を送った。
.
140人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時