【夢の世界】7 ☆ ページ18
「階段はと…あった。」
人混みをかき分けてゆるやかな階段を登りきったら、座席番号の案内表示があったので、確認してからホールに入る。
えーっと、私の席は…。
しかし、チケットを片手にその案内を見るのだけど、3階には記載されているのと同じアルファベットがない。
「おかしいなぁ〜。」
「お客さま、お席をお探しですか?」
困っていると優しそうなお姉さんが声をかけてくれたので、私はここぞとばかりにチケットを差し出した。
慣れないことは聞くに限る!
「あ、あの、この席どこですか?」
「こちらは…1階席ですね。」
え、1階席?
「違います違います、3階の上って聞いてるので…。」
「ですがここにS席と書いてありますよ。」
チケットを指差して、お姉さんが丁寧に教えてくれる。
「ほんとだ…。」
どういうことだろう。羽生くんは確かに3階の見切れ席って言ったのに…。
戸惑いながらも、ご案内します。とお姉さんに先導されて再び1階へと下りる。
そして開け放たれている扉をくぐって中へ入ると、視界いっぱいに氷の白とステージのブルーが目に飛び込んできた。
すごい…豪華。
ここで羽生くんが滑ったり歌ったりするんだ。
きょろきょろしながらも、ようやくたどり着いた先は…。
「こちらですよ。」
「え?!」
ここ?!
3階どころか、リンクから直線距離で10メートルも離れてない。
しかもなんだか隔離させているような壁があって、窮屈感がなくゆったりしている。
「こちらは関係者席ですので、ごゆっくりとご観覧ください。」
では、と笑顔で去ってゆくお姉さんに慌ててお礼を言う。
羽生くんが天井席って言ってたのは嘘だったのかな。それとも手違いで他の人に渡す席が私の手元に届いたのかも…。
「意外とうっかりしてるんだなぁ〜…。」
今日会ったら間違えてること教えてあげなきゃと自分に言い聞かせつつ、席に着いて一度ぐるっと会場を見渡す。
しかし…なんという幸運だろう。
私のようなスケート観戦歴の浅い人間が、こんな所に来れるなんて。
人生とはわからないものだ。
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鹿(プロフ) - みなみさん» 触れるとか設定は、適当なんですけどね^^まあ差別化ということで。次移行なんですけど、このままでは現実の羽生さんに追いつくので、どうしようかなーと模索中です。 (2019年7月5日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - おっと、何やらゆづがいつもと違って、ますます展開が楽しみです!狐耳、触りたい〜!!本人には見えているだけで触れないなんて、不思議ですね。 (2019年7月4日 13時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 狐耳にはあまり深い意味はなかろうと思います。ただ、二人を繋ぐものが何もなくなってしまうと、お話を進めにくいので、伏線のようなものでしょうか。でも、耳ついてるのを妄想しながら色々見返すという妄想観賞ができます。←! (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - るりさん» ついつい連続で更新してしまいました。出し惜しみは絶対王者がお気に召さないので(笑)でもみなさん注目ポイントが違ってて面白いですね(*^^*)ちなみに狐さんはもう出てきません。あっさり消えました。 (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - ゆなさん» 常に気になる所で終わっちゃうという(笑)後2話手前だともっと気になるかなーと思って、これでも足しておきました。たくさん更新するのは、自分が読者側だったら嬉しいからです(*^^*) (2019年7月1日 7時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年6月21日 16時