【これから】8 ☆ ページ29
「そんな夫の側にいられる私も、大変光栄でございます。」
「あはは！もうやめてよ、めっちゃウケるんだけど。」
そして少年のように、ゆづ王子が自らの手をぱんと合わせて笑う。
するとその音に驚いたのか、翔くんが急に泣き出してしまった。
「あ、翔くんが…。」
「あちゃ〜…。」
ほわほわ泣く我が子を抱いてあげたいけど、私はまだ一人でベッドから出てはいけない身。
翔くんはベビーベッドで肖像画のモデル中だし、どうしたものかと迷っていると、ゆづ王子が突然立ち上がって、その小さな身体をひょいと持ち上げた。
「抱っこしてても描ける？」
「大丈夫でございますよ。」
そう言って、よしよし、と優しく揺らしたりしながらあやすと…。
「泣き止みましたね…。」
「驚かせてごめんね。」
はい。と顔を絵師の方に向けて、肖像画の続きを促す。
「おそれいります。」
「最初からこうすれば良かったね。」
ふふふ。と含み笑いをしつつ、慈悲深い眼差しで翔くんを見つめるゆづ王子がたまらなく嬉しそうで、私も幸せな気持ちで一杯になる。
「皇子さまの下書きはほぼ出来ましたので、このまま父子の肖像画もスケッチいたしましょう。」
一段落ついたのか、絵師がキャンバスを置いた。
「あ、それいい！じゃあAも一緒にお願いできる？」
えっ。
ゆづ王子の咄嗟の提案に、どきりとする。
今の自分は、決して人前に出られない格好ではないけど、普段よりは若干ナチュラル系のメイクや服装なので、あまり肖像画にふさわしいとは言えないのだ。
「申し訳ありませんが、私はまだ一人で身なりを整えられませんので、またの機会で…。」
とても残せそうなものが描けるはずもないので、丁重にお断りする。
「大丈夫でございます。私目はお美しい側室さまを存じておりますので、想像でいくらでも着飾れます。そのままそこでお休みになっていてくださいませ。」
そう言って、絵師が別のキャンバスを取り出し、鉛筆でさらさらと下絵を描いてゆく。
「A、少しだけこの絵師さんに任せよう？せっかく今親子三人揃ってるし、何度もお城に来てもらうのもさ。」
にこにことおっしゃるゆづ王子を見ていると、まぁいいかなと思ってしまう私も私だ。
「そうですか。ではお任せします…。」
「王子さま方のお顔は、既に頭に記憶しておりますので。」
絵師から頼もしい言葉が出る。
さすが何枚もゆづ王子の肖像画を描いているだけのことはあるなと、感心した私だった。
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鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが＾＾；羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか？いつか本人も、親になってほしいです＾＾ (2019年6月24日 17時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました！何度でも読んでください＾＾私も読みます！とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね！妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました！ (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても楽しく読ませていただきましたー！やっぱりゆづは王子だよね！(´ー｀*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました！(*´ `) (2019年6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね！ (2019年6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです＾＾あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが＾＾；また何か書ければいいなと思います！ (2019年6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鹿
| 作成日時：2019年5月25日 9時
