【SEIMEI】11 ☆ ページ20
「そうかも知れません…。」
「あいつはそういうやつだよ。」
ついさっき、言い合いをしていたとは思えないセリフに、こういう所がお二人らしいなと心があたたかくなる。
「ねぇゆづさん、お願いがあるんですけど…。」
「何？」
そんなお優しい正室さまだから、少し先の未来を想ってしまう。
「もしも次に子供が生まれたら、佳菜子さまの名前から一文字取って名前を付けませんか？」
「えぇ？！」
私の発言が意外だったのか、ゆづ王子がのけ反るようにしたので、椅子ががたんと鳴った。
「正室さまとの繋がりを、どうしても後世に残したいんです。」
「……。」
「ダメですか…？」
端から見れば、私たち三人の関係はとても特殊かもしれない。でも王室の歴史の中で、良好な関係であったことを未来永劫伝えたい気持ちもある。
お許しいただけるかな、と腕を組んでいる王子さまを見守っていると…。
「ダメくないけど…。まぁ…いいかな。」
少し悩んだ後、笑顔でオッケーしてくれた。
「ありがとうございます！あ、佳菜子さまには内緒にしておきましょうね。」
良かった。でもご本人に伝えたら絶対断られそうだから、今はまだここだけの話にしておきたい。
「でも、さっきまであんなつらそうだったのに、もう次の子供のこと考えてんの？」
すごいね。と感心されるのだけど、こんなにかわいいのなら、何人でも欲しいと素直に思えるのだ。
「ゆづさんの子供ですもの。みーんなかわいい子に決まってます。」
「でもAに似た女の子は欲しいかも。」
「私はゆづさん似の女の子がいいです。」
きっと国中の噂になるくらいの美人になるだろうな…と想像していたら、ふと翔くんが一瞬顔をゆがめて、ふぇ…。と泣いた。
「僕を見てって言ってる。」
「そうみたいですね。ごめんね、翔くん…。」
そっと頭を撫でると、柔らかい産毛の感触がとても気持ち良い。
母になるって、守るべきものができるって事なのかもしれない…。
お母さまも、私を生んだ時こんな気持ちだったのかな。
「じゃあ…俺もそろそろ部屋戻るわ。」
そんな想像をしていると、ふとゆづ王子が大きく伸びをした。
もう？と、とても名残惜しいけど、疲れているのは私だけじゃないんだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鹿(プロフ) - yuccoちゃんさん» 出産シーンはあまりリアルになり過ぎず、気を付けたのですが＾＾；羽生さんなら立ち合いそうじゃないですか？いつか本人も、親になってほしいです＾＾ (2019年6月24日 17時) (
レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - りんりさん» ありがとうございました！何度でも読んでください＾＾私も読みます！とっても長いので、時間のあるときにでも。いつでもお気軽にコメント書いてくださいね！妄想を受け止めてくださり、ありがとうございました！ (2019年6月24日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
yuccoちゃん(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても楽しく読ませていただきましたー！やっぱりゆづは王子だよね！(´ー｀*)次の作品も楽しみにしています。出産シーンのゆづが駆けつけて来た時の表現にキュンキュンしました！(*´ `) (2019年6月23日 22時) (レス) id: f1f31ef53f (このIDを非表示/違反報告)
りんり(プロフ) - 初めまして。氷の国、ずっと楽しく読ませていただいていました。完結、おめでとうございます^^私ごとながら先日、FOIにて初めて結弦王子を生で見て、もう一度この小説を最初から読みたい気持ちに駆られています。次作も楽しみに読ませていただきますね！ (2019年6月23日 17時) (レス) id: 6a04cdba45 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» やっぱりその時その時に羽生さんを投影させていると、楽しいです＾＾あれもこれもまだ書いてないエピソードもありますが、ちょっと気分転換もいいかなと、ちょっと強引に終わりましたが＾＾；また何か書ければいいなと思います！ (2019年6月13日 17時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鹿
| 作成日時：2019年5月25日 9時
