【三つの真実】1 ★ ページ18
★ゆづサイド
その後、村の人々に別れを告げ、再び馬車で少し早めの帰城をする。
今回の滞在ではいろんな事があったけど、自分の中でこの村に対する印象がかなり変わって、親密度が増したように思う。
もっと国内外問わず、様々な場所に行かなきゃいけないなと決意を新たにした、そんな視察だった。
「ゆづさん…。」
村を出てすぐ、ふとAが俺の名前を呼んだ。行きの時よりもかなり落ち着いた雰囲気で、ゆったりとクッションにもたれている。
「ん、何?」
「あの、シロのことなんですけど…。大人げなく泣いたりしてすみませんでした…。」
うつむいて、Aがぺこっと頭を下げる。
でもそれは自分にも否があるから、ちゃんと誠意を伝えたくて、一度きちんと座り直す。
「うん、俺も悪かった。会わずに行くって言った時、Aに知らせるべきだった。」
そう言うと、まだちょっと寂しそうだけど、少し笑ってくれた。
「また秋には会えますし、その時まで我慢しますね。」
そんなAを見ていると、なんであの時Aの気持ちになって考えてやれなかったのかなと思う。
向かい合わせに乗っている座席を移動して、Aの隣に座る。
そしてより密着した状態のまま、ごめんね。とAの肩に頭を乗せた。
「元気で暮らしていて欲しいです…。」
「時々フェイに様子を見に行ってもらおっか。」
また狩人に撃たれていたら大変だし、フェイだってたまには刑事に会いたいだろう。
それに向こうでの様子も気になる。
もしかしたらかわいい狐の女の子と仲良くなったりするかもしれない。
刑事だってお年頃だ。可能性は無くはない。
「ゆづさん…。」
「ん?」
そんな春めいた妄想をしていると、再びAに優しく名前を呼ばれる。
それが嬉しくて思わず肩に頬擦りしたら、今度はふわっと抱きついてきた。
「好き…です。」
そして照れながら、消え去りそうな声で呟く。
「それは無良くんじゃなくて?」
「…いじわる。」
今本当にいじわるなことを言ってしまったなと、慌てて取り消す。
「ごめん、失言でした。」
でもどうしても確かめたかったのだ。
Aにとって自分が、一番の存在であることを。
だから、Aの心に少しでも無良くんがいるのが嫌だったし、たとえ子供の戯言でも、周りにそういう目で見られていることすら、嫉妬の対象なのだ。
もうこれはどうしようもない。
それほどまでに、俺はAが好きだし離したくないから。
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鹿(プロフ) - みなみさん» どうなるんでしょう?!フリーどうなるんでしょうか!昨日はなかなか寝付けず、今日は遅めに起きました^^;朝のニュース、ずっとイチローさんで、ちょっとがっかり!? (2019年3月23日 8時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - サルコウが…サルコウがぁぁぁ…!点差が大きいな…。一面に書かれる言葉を気にしていたゆづだけど、全部イチローさんに持っていかれましたね。やっぱりイチロー引退には勝てないよね。そうか、イチローが引退か…。野球ファンでなくとも、結構おおきいな、これは。 (2019年3月22日 8時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - みなみさん» 以前より、声が良くなった気がします^^そうとう使ってるなと思ったんですが…。(絶対家で歌いまくってると思われ)早く日本に帰ってこないかなー! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - 心菜さん» すごい!現地観戦だなんて!楽しんで応援してくださいね^^帰国はまだかなー。ニュースも目が離せないですね! (2019年3月18日 17時) (レス) id: 73ad5e2308 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - あっちもこっちも見るところがいっぱいあって、王子はやきもちやいちゃいますね。雪肌精のCM、素敵ですね。芝居の台詞はダメでも、ナレーションは心地よい声で向いてる気がします。引退後はあちこちから引っ張りだこでしょうね。 (2019年3月17日 19時) (レス) id: 42f93678ff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鹿 | 作成日時:2019年2月15日 20時