ミルクとスフレと【石川界人】

理由なんてない ページ10

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最近は有難いことに忙しくさせてもらっていて、ついこの前真礼ちゃんに心配されたばかりのような状況になっていることに、自分でも気付いているんだけれど。

でも仕事を休むわけにはいかないし、空腹時間が続くせいか食欲もあまりなくなってしまった。あー、こんな時の息抜きってどうしたらいいんだろう。なんて、まだまだ大人になりきれてない自分が嫌になる。

寝落ちしてもいいように、アラームだけセットして少し休憩するつもりでソファに横になる。次に目を開けたときは、誰かが私に触れていて、しっかりと頭を働かせれば、界人がベットまで運んでくれていた。



『………真礼ちゃんに言われたの』

「んー、そう。今日現場で会って」

『………ごめんね』

「何のごめん、よ」

『いろいろ』

「いろいろー？(笑)じゃあ、何で泣いてんの」

『わっ、かんない』

「ええー(笑)泣くほどつらい？」

『……わかんないっ、』



ほんとに何で自分がこんなに泣いてるのか分からない。けど、どこにも行ってほしくなくて、彼のTシャツを掴めば、私の隣にごろんと寝転がって。



「ほら、もう少しそっち詰めて」

『ん、』



向かい合った状態で頭を胸に寄せられる。頭をゆっくり撫でられる感覚に、ああ、安心する。落ち着く。今日はこのまま、一緒に寝たいな、なんてゆっくりと目を瞑る。



『…………かいと』

「んー？」

『……今日泊まってって、ここにいて』

「そのつもりだった」

『………ありがと』

「おやすみ」

『……ん、おやすみ』







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