ミルクとスフレと【石川界人】

息抜きだって必要 ページ30

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界人の運転で都心から少し離れた旅館までやってきた。旅館の周りを軽く歩いたり、夜は部屋でごはんを食べて、温泉にも入ってゆったりと過ごす。普段働き詰めだったから、こんな風に過ごすのもいいかもしれないな、なんて。



「お風呂、どうだった？」

『良かったよー？温泉久しぶりに入った』

「ね、俺も」



座りながら界人に両手を広げれば、軽く笑ってそのまま近付いてきて近くに座ってくれる。



「なに？甘えたいの」

『えー？うん、』

「ははっ、どうぞ？いくらでも？」

『だって、こうして2人でゆっくりするの久しぶりなんだもん』

「そうねー？1日こんな感じだったの久々だね」

『でしょ？、ね、界人』

「んー？、ん、っ、」



彼に寄りかかっていた体を少し起こして、首に腕を回して軽く唇に自分のそれを合わせれば、至近距離で少し驚いた姿と目が合う。



「ふ、甘えただとこんな大胆になるっけ？」

『んー、どうだろ』



会話にならないような会話をしていれば、彼の手はしっかりと腰に支えられていて、頬を撫でてくれる手が少しくすぐったい。

キス、して欲しいな、なんて思って見上げれば、ぱちっと目が合うくせに、何もしてくれなくて。あ、これ絶対意地悪してるんだ、なんて。



「なあに」

『わかってるくせに』

「え？分かんない」

『笑ってるもん』

「ふふ、言ってくれなきゃ」



にやにやしている彼を見返したくなって、もう一度自分から唇を合わせて、少し長めに触れて。再び触れ合うまであと数センチの距離で視線を合わせれば、まだ余裕そう。



『………すき、界人』

「っ、ばか」

『んっ、ふぁ、っ、かいと、っ』

「俺の負け、ね、」






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