ミルクとスフレと【石川界人】

彼シャツ？ ページ27

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夏本番。外は30度を超える暑さだけれど、スタジオの中はクーラーで冷え切っている。そんなことを考えずに着たかったノースリーブのトップスを着てきたのが悪かったのかもしれないけど。



「ん、」

『……え、界人、くん？』

「クーラー効きすぎて寒くない？着てていいよ」

『シャツ、着ないの？』

「念のため持ってたくらいだから、俺は大丈夫」

『……ありがとうございます』



たまたま現場が一緒だった界人くんの長袖シャツを借りて羽織る。あー、これでちょうどいいかもしれない。しばらく借りてよう、なんて思っていれば壮馬くんが通った。



「あ、ほしちゃん、お疲れさま」

『壮馬くん。おつかれ』

「………この上着、界人くんの？」

『……そうだけど、にやにやしないの』

「だって(笑)珍しいじゃん、彼氏の服着てるなんて」

『ノースリーブで来たらスタジオ寒くてさ、』

「あー、まあクーラー効いてるよね」

『それで借りてる』

「へえー(笑)」

『にやにやしない！(笑)』



にやにやした壮馬くんを追いやって、ソファの上に膝を抱えて座り込む。行儀悪いってわかってるんだけど、たまにやりたくなる。

うわあ、このシャツ、めちゃくちゃ界人の匂いする。なんか、安心しちゃうかもなあ。



「……………星名さん？」

『わっ、え、あ、ごめん。どうした？』

「いや。大丈夫？体調悪い？」

『はっ、大丈夫』

「え、ほんとに？」

『ほんとに』

「ふーん、ならいいけど」



さっき思ってたことは、なんだか恥ずかしくて言えなくて。





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